米国は弁護士が社会に満遍なく浸透している国である。一般人にまで浸透しているが故に「米国は訴訟社会」と言われるが、米国では公共の世界にも弁護士がわんさかいる。
米国政府の省庁には法務部があり、契約交渉や訴訟対応はそこにいる弁護士が担当する。自治体も同様で、州には法務部所属の弁護士がいるし、小さな自治体は町弁を顧問弁護士として起用している。こういった弁護士は、様々な縛りがある公共の世界の法律や慣習に精通している専門家である。
米国は弁護士が社会に満遍なく浸透している国である。一般人にまで浸透しているが故に「米国は訴訟社会」と言われるが、米国では公共の世界にも弁護士がわんさかいる。
米国政府の省庁には法務部があり、契約交渉や訴訟対応はそこにいる弁護士が担当する。自治体も同様で、州には法務部所属の弁護士がいるし、小さな自治体は町弁を顧問弁護士として起用している。こういった弁護士は、様々な縛りがある公共の世界の法律や慣習に精通している専門家である。
ローウェンスタイン・サンドラー(Lowenstein Sandler)法律事務所で小室圭が担当している「G-BRIDGE」。これが一体どういう業務なのかあまり語られていないが、それは日本の感覚からして、法律事務所が行う業務としてイメージが湧きにくいからかもしれない。
G-BRIDGEは「Generating Business Relationships in the Defense and Government Environment」の略。直訳すると「防衛と政府の業界における取引関係の構築」だが、これだけでは具体的に何をしているのか分かりづらい。
このチームの業務の背景にあるのは、民間企業が政府と取引をする際の特殊性だ。
【日本製鉄がわざわざローウェンスタインを起用するメリットは見当たらず】
日本製鉄によるUSスチールの買収を機に小室圭が日本製鉄の国際貿易のアドバイザーになるのではないかと憶測されているが、僕としては「そんな簡単に行くだろうか」と思ってしまう。そもそも、日本製鉄ともあろう大企業には既に米国系法律事務所がついているはずで、既存の関係を引き離すのは大変である。
最近、小室圭が入所2年目にして違う部署に異動し、USスチールの買収を発表した日本製鉄のアドバイザーになるのではないかとまで憶測されている。
小室圭がいる世界にいたことがあり、彼が所属していたローウェンスタイン・サンドラー(Lowenstein Sandler)法律事務所から内定を貰っていた者として、僕なりの考えを述べてみたい。
小室圭がいるような法律事務所に在籍していたことがある僕は、給与と金銭感覚の面で随分と波乱万丈な道を歩んできている。
実は僕は、キャリアを公務員として始めた。いずれは企業法務に携わるつもりでロースクール時代に法律事務所から内定を貰っていたのだが、少しは「人のために尽くす」という弁護士の本来の姿を経験した方が自分のためになるだろうと思い、1年間だけ、ニュージャージー州で裁判官の助手であるロークラーク(law clerk)という仕事に就いていた。
当時の僕は、僕も相手の弁護士もレイオフの対象に含まれなかったことは運が良かったからだと思っていたのだが、今なら分かる。あれは運でも何でもなかったのである。彼も僕も新米弁護士だからこそ生き延びれたのだ。
理由は簡単だ。新米の給料は安いからである。
アメリカのIT企業によるレイオフ、いわゆる大量解雇が日本でも物議を醸しているが、景気が後退するといずれは大手法律事務所も煽りを受けるのがアメリカである。特に金融に依拠しているM&Aなどの分野が強い法律事務所は、景気の動向に左右されやすい。(余談となるが、会社更生や訴訟といった分野は、反対に景気悪化に強い)
そうなると気になるのが、コーポレート関係の仕事がしたいと言って小室圭が就職した法律事務所ローウェンスタイン・サンドラー(Lowenstein Sandler)が、16人解雇したという報道である。対象となったのはスタッフであるが、いずれは弁護士にも広がる兆しを感じさせる驚きのニュースである。
ある会食で隣に座ってた人の話を聞いていたら、驚くことに、彼はアマチュアボディビルの日本一なのだそうだ。
これはすごいと思って深掘りしてみると、ボディビルはレスリングのようにウエイトクラス(および年齢クラス)というものがあり、一定のクラスではそもそも参加する人が皆無なので、参加するだけで一位になれるらしい。
なるほど、競合がいなければ日本一になれるんだ、と感激していたら、実は自分にも同じ消去法で(日本一とは言わずとも)国内有数になれる分野が二つだけあることに気づいた。
【ニュージャージー州にいる友人の印象】
では、ローウェンスタインの本拠地であるニュージャージー州での評判はどうであろうか。
ニュージャージー州には弁護士になった友人が多くいるので(注:米国では弁護士になりやすい)、彼らと夕食をしながら、同じくローウェンスタインの話を振ってみた。
【優先すべきは仕事ではなく司法試験の合格】
小室圭は、遅かれ早かれローウェンスタイン・サンドラーから退所を促されるだろう。たとえ引導を渡されなかったとしても、自主的に退所すべきだ。
もちろん弁護士として採用された以上弁護士になれないのであれば辞めるのが筋という理由もあるが、もっと現実的な問題として、もはやローウェンスタインで仕事をしながら司法試験に合格することは困難すぎる。
前回は小室圭の就職先であるローウェンスタイン・サンドラー(Lowenstein Sandler)について自分の経験を元に解説したので、今回は当事務所のサイトに掲載されている彼のプロフィールを(つい最近まで類似したプロフィールが公開されていた者として)読み解いていきたい。
【学位】
事務所のプロフィールによると、小室圭は2019年にL.L.M.と呼ばれる学位を、2021年にJuris Doctorと呼ばれる学位を取得している。
L.L.M.とは日本の大学の法学部を卒業した人が米国に留学する際に取得する学位で、1年間で取得できる。L.L.M.を取得すれば多くの米国の州で司法試験を受験できるので、日本企業の法務部社員や日本の弁護士が米国の弁護士資格を保有している場合、学位は大抵L.L.M.だ。
他方で、Juris Doctor(通称、「J.D.」)とは一般の米国人が弁護士になるために取得する学位で、取得するのに3年かかる。
学位がL.L.M.でもJ.D.でも米国弁護士になれるのだが、双方の大きな違いは、前者だと米国本土での就職に大変苦労することだ。その理由は簡単で、一般の米国人はほぼ例外なしにJ.D.を取得するので、法律事務所の採用活動もJ.D.取得者を対象としているからだ。(米国法律事務所の東京支部での就職は事情が大きく異なることに注意)
小室圭は当初L.L.M.プログラムに入り、その後J.D.も取得することにしたようだ。ニューヨークで勤務することを希望していたのであれば、これは賢明というより必須の決断であったと思われる。
小室圭がニューヨークの法律事務所に就職したという報道があったのでググってみたら、なんと就職先はローウェンスタイン・サンドラー(Lowenstein Sandler)法律事務所ではないか。
ローウェンスタインは僕が内定をもらっていた事務所。最終的に辞退したが、ひょっとしたら小室圭の先輩になっていたかもしれないと思うと、「小室圭文書パロディー」なんてものを書いたことをちょっと反省している。
僕の経験上、ローウェンスタインはなかなかの事務所である。つい最近まで小室圭が飛び込んだ世界にいた者として、彼の今の境遇を解説してみようと思った。