“実務”しかできず”仕事”ができない管理職は淘汰すべし(前編)

「Aさんは仕事はできるんだけど…」と言った話を聞くと、僕は必ず訂正する。「それって、『仕事』じゃなくて『実務』のことでしょう」と。

なぜなら、必ずと言っていいほど「…」の後に続く話が仕事の一部である事柄ばかりだからだ。実務はあくまで仕事に一環でしかない。僕からしたら、実務しかできない人は仕事をこなしているとは言えず、これは特に業務をすべて自分でやってしまうような管理職に関して言えることだと思う。

管理職の仕事は、言葉どおり、部下を”管理”することである。部下に仕事を任せ、その仕事に対して責任を取って、初めて管理職として仕事をしていると言える。実務ができるから仕事ができると誤解している管理職は、大抵、実務ができることが能力だと勘違いしている。そういう人たちに欠けているのは、実務など、一般の社員なら一定の期間やっていればこなせるようになる現実である。実務は誰でもできるなら、高給取りの管理職より入社して6ヶ月の新卒にやってもらった方が、ずっと組織としてはコスパがいい。

だからこそ、本当の意味での管理職の仕事は、部下を育てていくことにある。管理職はあくまで1人の人間だが、自分ができることを2人、5人、10人ができるようになれば、自分がすべてやってしまうよりよほど組織に貢献できる。それはたとえ部下が自分の7割しかできなくても然りであり、100できる自分が1人でやるのと、70できる部下2人に任せるのとでは、後者の方が生産性が40%も高い。

部下を育てるということは、時には部下の成長を組織の都合より優先させることを意味する。僕はつい最近、このことを外資系の会社で長年管理職を務めてきたBさんから聞いた話で学んだ。

後編に続く)

 

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