競合がいなく需要もない僕の二つの専門(前編)

ある会食で隣に座ってた人の話を聞いていたら、驚くことに、彼はアマチュアボディビルの日本一なのだそうだ。

これはすごいと思って深掘りしてみると、ボディビルはレスリングのようにウエイトクラス(および年齢クラス)というものがあり、一定のクラスではそもそも参加する人が皆無なので、参加するだけで一位になれるらしい。

なるほど、競合がいなければ日本一になれるんだ、と感激していたら、実は自分にも同じ消去法で(日本一とは言わずとも)国内有数になれる分野が二つだけあることに気づいた。

一つは、アメリカの憲法である。

僕は今でこそIT業界にいるが、もともとはアメリカ憲法が好きでロースクールに進学した。よって、授業ももっぱら憲法関係のものばかりを受けていて、卒業した頃には一般のアメリカ弁護士よりアメリカ憲法に詳しいくらいは憲法に精通するようになっていた

もちろん、アメリカなら僕くらいの憲法知識を持っている法律家はわんさかいる。しかし日本では、アメリカ憲法なんぞ所詮は他国のことなので、詳しい人は一握りしかいない。

なぜそれを知っているかというと、僕は数年前から日本にある某ロースクールでアメリカ憲法を教えており、最近はアメリカ憲法の授業が提供される都度、当然のことのように僕が担当することが決まってしまっているからである。ロースクール側に事情を聞いたら、他に教えられる人を探すのが大変、ということらしい。まさに、競合がいないからこそ選ばれているのである。

もっとも、アメリカ憲法の分野は教えるという需要があるだけマシである。僕の職業的な専門はまったく活かせる場面がない。

後編に続く)

 
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