僕は天才でなくてよかった(後編)

前編から続く)

とは言え、希望と期待と運命を背負っていく天才の人生は、「浅い、でも広い」人生の楽しさを知ってしまった僕からすると、なんとも窮屈に見える。

幼い頃、僕は株に興味を持っていた。人生最初の趣味は「金」であったと言える。しかし、読書をしていくうちに歴史も好きなことに気付き、歴史の中でも特に政局が面白かったので、大学では政治を専攻にした。

そして政治の中でも憲法が最も興味深かったので法律の勉強を続け、憲法では食べていけないことを悟ると、証券法を仕事とした。その後、完全なキャリアチェンジを試みた時には、IT音痴でも構わないと言ってくれたIT企業に拾ってもらった。

こうして、よく言えば赴くまま、悪く言えば気が多い人生を生きてこれたのも、無頓着でいられる自由があるからだ。投資家として冴えず、学問家としては平凡で、法律家としても平均的であれば、進む道を変えても、惜しむ者もいなければ引き止める者もいない。

人生いろいろ」がモットーである僕には、一つを極める人生より、多様性に溢れる人生の方が合っている。

だからつくづく思う。

僕は天才でなくてよかった。

 

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