“実務”しかできず”仕事”ができない管理職は淘汰すべし(後編)

前編から続く)

10年ほど前、Bさんには優秀な部下がいた。彼はそつなく実務をこなせるだけでなく、管理職になれるリーダーシップの要素も持っていたのだが、当時のポジションが大変居心地が良かったようで、現状に満足しちゃっている節があった。ある時、Bさんはそんな部下を呼び出して、次のように伝えた。「あなたがこの会社で学べることはすべて学んだ。これ以上在籍していても成長できないので、半年以内に転職先を探しなさい」。

つまり、優秀な部下に対して引導を渡したのである。その後彼は無事転職できて、現在は大企業の上層部にいるらしい。数年前にBさんが彼の妻と再会したら、「あの時に夫を辞めさせてくれてありがとう」とお礼を言われたそうだ。

ここまでして部下の面倒をみることを一般の管理職に求めるのは無理としても、少なくとも、実務しか能力がなく、他人に任せることができず、部下の行為に関して責任を負えないような管理職は、組織から淘汰すべきだと思う。

実務ができる管理職は”仕事”ができていると誤解されがちなので、実務能力しかない管理職を排除するのは一見難しそうに見えるかもしれない。しかし、実際には次のように進めれば結構簡単に行くのではないかと思っている。

まず、組織内のすべての管理職の部下に対してヒアリングを行い、①上司から仕事を任せてもらえているか、および②問題があった際に責任を取ってくれるか、の2点を確認する。そして、いずれもNoである管理職がいたら本人を呼び出して、自分の仕事を説明することを要求すればいい。回答が実務に関する内容ばかりであれば、本人にそもそも”仕事”をする気がないとして、その場でクビにする。たとえ回答に部下を管理することが含まれていても、ヒアリングの結果仕事ができてないとして、これもまたその場でクビにする。

この案を導入すれば、中小企業、大企業に関わらず、だいぶ多くの会社で管理職の質が向上するのではないかと個人的には思っている。

 

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