プライドが高くて自覚がないのは致命的(前編)

これまで、できる人、できない人、普通のできの人を色々と見てきたが、一つ言えることは、プライドが高くて自覚がないのは致命的、ということである。

そんな人が世には少なからずいる。

前の職場では、メンタープログラムというものがあった。社内指導教育プログラムに近いものだが、そんな正式なものではなく、必要に応じて新人の相談に乗ったり、気付いたことがあればアドバイスしてあげる、軽い関係である。

ある年、メンターとして世話を見ることになった新人が、早くもその年一番の問題児の立場を確立しつつあることを知った。複数の同僚から聞いた話によると、最大の問題は、新人並みの仕事もできないくせに、ベテランのように立ち振る舞い、謙虚さが足りないということだった。

この職場での人事評価は、部長クラスの人たちが、複数いる本人の上長から情報を収集し、本人に伝えるという方式だった。

僕が面倒を見ていた新人が初の評価を受けた翌日、その人を昼食に誘った。良い結果ではなかったことが想定されたので、メンターとしてアドバイスしてあげるべきと考えたのだ。

その人が食べ終わったところを見計らい、さりげなく「評価、どうだった?」と聞いたら、こんな答えが返ってきた。

「よくなかったけど、それは私の日常の仕事ぶりを見てない部長クラスの人たちが評価したから。一緒に仕事をしてる人たちは評価しているはず」

あまりに自己都合的な解釈だったので、僕は率直に教えてあげた。

「僕は君と常に仕事をしてる同僚からいつも話を聞いてるけど、君が昨日言われたことは、まさに彼らが考えてることだよ」

それを聞いた新人は、呆然としか言いようがない表情をした。全く想定していなかったようだ。

僕は反対に、この新人がショックを受けたことに驚いていた。というのも、その人がしょっちゅう仕事上の問題点を指摘されてきたことを知っていたのだ。言われても聞こえない、分からないとはこういうものなんだ、と感慨深かった。

数年後、こういった人が決して珍しくないことを学ぶ。

後編に続く)

 

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