めざせ、高校中退

僕の日本での最終学歴は小学校中退である。この先当分は日本で生活していくことを想定しているのを踏まえ、「高校中退」まで学歴をアップすることを真剣に検討している。

この目標、結構ハードルが高い。何せ、高校受験をする必要があるのだ。

僕が高校受験をするにあたり、まずは心の問題がある。

いくら幼稚とはいえ、僕はれっきとした18歳の社会人である。在学中学生と共に試験を受けることにはそれなりの勇気と度胸が必要だ。

次が戦略の問題。

すべての高校の入試を受けるわけにいかないから、受験校を「チャレンジ」、「合格圏内」、「滑り止め」の三種類に絞っていくのも受験の重要な側面であるが、この点については僕の計画性が全くあてにならないことを僕の過去が立証している。

というのも、米国では受験がないので戦略など練る必要はない筈なのに、僕はロースクールに出願する際あまりにも自分を過剰評価し、余裕で合格圏内と見込んでいた第一志望校ボストンカレッジ•ロースクールに見事落ちた経験がある。ただ志願書を提出すれば良いだけの世界でこのザマなのだから、日本の高校受験においては高校浪人になりかねない。

さらに、戦略以上の課題なのが知識の問題。

戦略に失敗してもどれかひとつの入試に合格さえすれば結果オーライだが、最近本屋で高校受験用の参考書に目を通したところでは、入試合格は絶望的である。

そもそも僕は米国の現地校で、文系科目の試験ではテキトーに何かを長々と書いて一定の点数をもらえ、数学はレベルが低かったから生き延びてこれただけであり、いずれも日本では通用しそうにない。

例えば「護憲運動や吉野作造の民本主義によって、普通選挙などを求めた民主主義的な風潮を何というか」という問題。問題の趣旨さえさっぱり分からぬが、ピンポイントの答えを書かなければ点数をもらえないことくらいは分かる。米国では数学が僕の得意な科目だと見做されていたが、「Πが3を超えていることを証明しなさい」なんていう問題が出されては、何をどこから手をつけたらいいのかさえ分からない。

なお、この知識の問題、回答が分かるか否かだけに留まらず、回答を正確に伝えられるかにも及ぶ。「アメリカ大統領ウィルソンの提案で設立された平和のための国際機構を何というか」という問題の回答は「コクサイレンメイ」であるくらい流石に知っているが、これを回答用紙に漢字で書くことができるかは僕の漢字能力を鑑みると甚だ疑わしい。

そして、最も深刻なのが僕の試験に対する姿勢の問題。

性格上、僕が聞かれた質問に対して素直に大人しく答えられるか微妙である。というか、偏っている知識内で答えられる問題であればあるほど、問題の趣旨を無視した回答をしそうである。

典型的な危ない問題が「徳川御三家を列挙せよ」で、僕は回答用紙に「一般的には紀州藩、尾張藩、水戸藩のことを指すが、将軍家、紀州藩、尾張藩を指すという説も認められるべきである」と記載した後、「(裏を参照)」と続け、残りの試験時間を、なぜ水戸藩は御三家のひとつとして見做すべきではないかについて語ることに費やしかねない。(余談だが、挙げられる理由として、水戸藩から将軍を出すことが認められていなかったこと、水戸藩は参勤交代の対象ではなかったこと、水戸学の歴史的存在、などがある)

これら様々な課題を克服し高校に入学できたらまさに奇跡である。ましてや高校卒業など夢のまた夢であることを自覚しているからこそ、「高校中退」を目標に掲げている次第である。

 
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