僕は森喜朗と徳川慶喜が好きすぎてちょっと変な趣味に走ってる(後編)

前編から続く)

こんな感じでこの二人を褒め称えたらきりがないが、実は僕が彼らに対して抱いている気持ちは結構軽薄である。

たとえば、僕と森喜朗の関係。これはアイドルを追っかける女子高生の関係だ。もちろん、森喜朗がアイドルで僕が女子高生である。

僕は女子高生がアイドルの写真集を命より大事にするくらい、森喜朗が書いた「私の履歴書」を重宝している。そして、僕はこの本を持って二子玉川にある高島屋を時々彷徨う。なぜかというと、ある時その高島屋で森喜朗を目撃したという噂を耳にして、そこに行けば「私の履歴書」にサインしてもらえるかもと期待しているからである。

アイドルの森喜朗は十分遠い存在だが、徳川慶喜はもっと遠い。慶喜は故人ということもあるが、たとえまだ生きていたとしても、僕は彼に対して追っかけ行為のようなことはできないだろう。慶喜はあこがれの対象なので、もっぱら真似したいだけだ。

別に僕は俳優になりたいと思ったことはないが、万一スカウトされて俳優になり、慶喜が大河ドラマの題材に選ばれ、僕が主役に抜擢されたら、慶喜の波乱に満ちた半生を演じられる自信がある。

たとえば、実際に愚物であった島津久光参与会議で「こいつは天下の大愚物である」と罵倒し、泥酔しているように見えて実はシラフであるニュアンスを演じたり、大政奉還をするために諸大名の重臣を唐突に呼び出し、260年間存在した幕府が突然消えてしまうという状態をまったく理解できずにポカーンとしている武士たちを煙に巻いてさっさと二条城二の丸大広間を退散する。

でも、一番の見せ所は、慶喜にとっての一生の不覚のシーンだ。薩摩藩の挑発に乗って挙兵してしまったものの、朝敵になり鳥羽・伏見の戦いで惨敗した報告を受けると、無表情で「しまった!」と心の中で舌打ちしつつも、このまま戦い続けても百害あって一利なしと悟り、忠実な松平容保に行き先も目的も伝えず「ちいとついてこい」と命令し、夜の大阪城から脱出して江戸城に入った後、容保を見捨てる非情さを完璧に演じられるだろう。

こうしてみると、僕は森喜朗と徳川慶喜が好きすぎて、若干変な趣味に走ってしまっているかもしれない。

 
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