10代のバイト、貴重な人生勉強(前編)

「お酒とバイトは中2から」。僕にはこんな持論がある。

「中2」とは語呂がいいから選んだ年齢だけであり、もちろん違法行為を推奨しているわけではない。この持論の趣旨は、お酒も労働もなるべく早く経験した方がいい、といった人生アドバイスである。

米国の実業家の中には、学校での教育など無駄で、教育費分の金を18歳の子供に渡して起業させた方がずっといい社会勉強になるという極端な主張を展開する者が多くいる。僕は教養を得られる学校での教育を否定しないが、他方で、社会に出てからしか学べない「人生勉強」を10代中に学ぶべしという考えについてはもっともだと思う。

僕の初めての人生勉強は、高校時代の夏休みにやった地元スーパーでのバイトだった。

時給は12ドル程度で、1日8時間、週5日働いても、手取りは450ドル弱。そのような収入では、勤務してるスーパーの弁当代ももったいなく思えた。このバイトで実感した金を稼ぐことの大変さは、その後の人生の中で最も貴重な教訓の一つとなっている。

前職にいた時、僕の役割に、数千億円の送金をするゴーサインを銀行に出すというものがあった。仕事でこの規模の金を扱っていると、1億円が「単なる」と表現される金額になりがちで、僕はこのことで個人的な金銭感覚がずれることを何より恐れていた。そんな時に拠り所になったのが、12ドルが1時間の労力で稼ぐ大金だったバイト時代の記憶だ。

この12ドルという時給、実は法定最低賃金をだいぶ超えていた。

なぜ何の知識も経験もない僕がそんなにいい時給をもらえたかというと、それは労働組合のおかげである。組合が経営側と交渉して労働条件を勝ち取ってくれたからこそ、青二才だった高校生の僕にも、より高い賃金に限らず、30分の昼休みや10分の休憩時間までもが約束されていた。当時も今も僕は思想的に労働組合の敵だが、僕はこのバイト時代に、自分勝手な政治思想がまかり通るほどこの世の中は単純ではないことを学んだ。

後編に続く)

 

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