僕は文才なき直木賞受賞者になる(後編)

前編から続く)

バイリンガルなんて聞こえはいいが、早い話が、英語も日本語も中途半端であるわけであり、この言語力不足が最も顕著に現れるのが語彙の少なさだ。単語を知らないことが相当なトラウマになっている僕は、「拘泥」「貴賎」などの「大人が知ってる言葉」を学ぶと、不自然であろうが何としてでも文章で使おうと思ってしまう。

だが、難しい言葉に触れる機会など数ヶ月に一度くらいしかない。それに、1200〜1600字の投稿で2文字入れ替えたところで、文章の改善度などたかが知れている。

そうなると、良い文章にするために残されている手段は、「読みやすさ」を究極まで突き詰めることくらいしかない。どうせ難しい内容も表現も扱えないんだから、易しさを極めようという発想である。

というわけで、僕はこのブログを書くにあたって、とにかくリズムのいい文章を書くことしか念頭に置いてない。長い文の次は短い文に。文末の「る」、「す」、「た」、「だ」、「い」は連続しないように。体言止を適度に。こういった工夫をしながら、文章の内容がテンポを崩すようなものなら、事実内容をいくらでも改ざんする。

こうして推敲だけにはべらぼうに時間と労力を割いているこのブログについて、最近「読みやすいです」と褒めてもらえることが増えてきた。

やっと僕流の文章が評価されてきたようである。

僕が文才なしという新しいタイプの作家として直木賞を受賞する日は近い。

 

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