ジョー、米国大統領選の民主党候補指名争いを推測する

この投稿は、毎週、予備選・党員集会の結果を踏まえて更新されていきます。(直近の更新は赤字で表示。)

今週、米国のアイオワ州で民主党党員集会が開催され、正式に米国大統領選挙の幕が開かれる。

今年の民主党の大統領選指名争いは例年にない面白さであり、政治好きとしては血が騒ぐ。いつもどおり何の責任も伴わない評論を展開するだけでなく、たまには選挙の予測でもして自分の言論に責任を持とうと思った。

【米国大統領選候補指名プロセス〜党員集会と予備選挙】

まずはプロセスの流れをおさらいしたい。

大統領候補指名プロセスでは、直接大統領候補が選ばれるわけではない。有権者は、州ごとの党員集会や予備選挙を通じて、正式に大統領候補が指名される夏の党大会に出席する州の代表者を選ぶ。つまり、指名プロセスは党大会代表者獲得レースなのだ。

「党員集会」とは日本に馴染みのない制度である。州によって異なるが、一般論として、党員集会では、複数の学校体育館や地元市民館などで開催される集会場で、特定の候補を支持する党員が一つの場所に集うことにより「投票」がなされる。各候補の支持者数はその集会場に参加している党員総数の15%に達している必要があり、それを下回った候補の支持者は、他の候補の支持に回ることが許されている。

予備選挙と違って第二希望が尊重されるのが党員集会の特徴的なところであり、さらにアイオワ州では、支持者が「選挙活動」を行なって他の候補者の「陣営」から支持者を「奪う」ことも認められている。

こうしたことから、党員集会は極めて民主主義的な有権者の意思表明方法と言われている一方で、参加すると長時間拘束されるため熱狂的な党員しか参加せず、「投票率」が低く、参加者の思想が偏るのがデメリットとされている。

歴史上、大統領候補指名プロセスは米国中西部にあるアイオワ州の党員集会から始まり、東北部にあるニュー・ハンプシャー州の予備選、南部にあるサウスカロライナ州の予備選挙と続く。(ただし、最近はニュー・ハンプシャー州とサウスカロライナ州の予備選の間にネバダ州が党員集会を実施している)

これら「初期の予備選」が終了すると、3月の上旬には多数の州が一斉に党員集会・予備選を実施する「Super Tuesday」と呼ばれる日が訪れる。大抵はこの日の結果で指名候補が実質確定するが、残りの州の予備選・党員集会は6月まで続く。

このように、党員集会・予備選が順次に実施されることが米国大統領候補指名プロセスの特徴的なところだ。このため、候補は初期から善戦することが極めて重要になる。アイオワ州やニュー・ハンプシャー州で不振だった候補はSuper Tuesday前に撤退し、善戦した候補は「本命」として勢いがつく。

アイオワ州・ニューハンプシャー州・サウスカロライナ州が米国大統領選に与える影響は偉大なもので、3州全てを制覇した候補が指名されなかったことは史上一度もない。米国の人口3%しか占めないこの3州の有権者が全米を代表する大統領候補を決めるのは如何なものか、という批判がある一方で、これら3州の人種構成や思想は大きく異なることから、全米の良いバロメーターであるとも考えられる。

なお、民主党の指名制度では、候補の得票率が15%さえ超えていれば、各州の党員集会・予備選の結果に基づいて、党大会代表者が比例的に分配される。これは、共和党が予備選に勝利した候補にその州の党大会代表者の「独り占め」を認めているのと大きく異なる。民主党の制度だと、党大会代表者獲得レースで差をつけにくい半面、一旦水をあけられてしまうと追いつきにくい。

ちなみに、予備選・党員集会を通じてどの候補も党大会代表者の過半数を獲得できないと、候補の指名は党大会での政治的駆け引きに持ち込まれる。これはbrokered conventionと呼ばれ、最後に起こったのは1952年である。

【候補】

現在11人の候補が指名戦を争っているが、その中で現実的に指名される可能性があるとみられているのが、次の6名。

  • ジョー・バイデン前副大統領〜オバマ政権時代の副大統領で、特に黒人から強い支持を受けている。労働者からも一定の支持
  • バーニー・サンダース現上院議員〜4年前にヒラリー・クリントン相手に最後まで指名を競った。社会主義派を明言していることから若者・富裕層のリベラル層から人気があり、労働者からも一定の人気
  • エリザベス・ウォーレン現上院議員〜元大学教授の女性候補として、反GAFAなどの政策を打ち出しリベラル層から支持を集めている
  • ピート・ブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市市長〜38歳の若手政治家。討論会で存在感を示せたことにより、支持率が浮上
  • マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市市長〜共和党公認でニューヨーク市長選に当選した「汚点」があるものの、億万長者なので選挙資金は無限
  • エイミー・クロバチャー現上院議員〜中西部にあるミネソタ州選出の女性議員として、より中道的(彼女に言わせるとより現実的)な政策を主張

今回の大統領選の特徴は、候補の多さ。それも、ただ多いだけでなく、質も高い。これは各州の党員集会や予備選で票を割れ易くし、指名争いに二つの影響を及ぼす。一つは、党大会代表者を獲得するのに必要な得票率15%を越えるのが難しくなる。

二つ目は、比例分配制度なので、予備選・党員集会で圧勝が続かない限り、党大会代表者獲得レースで水をひらくことが難しくなる。

これは、通常よりbrokered conventionの可能性が高いことを示唆するが、果たしてその可能性はどれほどあるのか。

【アイオワ州党員集会〜ウォーレンの得票率は15%を超えるか?】

まずは現地時間の2月3日(月)に開催されるアイオワ州の党員集会から見ていこう。

世論調査によると、この数週間でサンダース上院議員への支持が上昇しており、バイデン前副大統領が続く。ブティジェッジ前市長とウォーレン上院議員が3位、4位を競っており、クロバチャー上院議員が最近になって懸命に追い上げ始めたという感じ。

一般的には、アイオワで上位3位に入ればマスコミから「潜在的本命」扱いされるようになる。

今回注目すべきなのは、ウォーレン上院議員だ。一時世論調査で1位だった彼女はこの数ヶ月間失速気味であり、やっと最近になって数字が落ち着いてきた。肝心なのが、その「数字」が15%前後であるということだ。

上述のとおり、党員集会では、各集会場での支持者数が参加者の 15%になるかなるないかで、その集会場で党大会代表者を獲得できるかが決まる。ウォーレン支持者の第二希望候補は、思想的に近いサンダースであると思われる。もしウォーレンの支持者が15%に達さない集会場が多数あった場合、ウォーレン支持者の多くがサンダースに流れ、結果、サンダースが完勝する可能性がある。

〜[2/9]アイオワ州の結果を踏まえて〜

開票が当日なされないという一大事があったが、やっとアイオワ党員集会の結果が確定した。

党大会代表者獲得率で見ると、ブティジェッジ、サンダーズがいずれも26%で1位、2位を僅差で競い、ウォーレンが18%、バイデンが16%、クロバチャーが12%と続いた。得票数では、サンダーズがブティジェッジを若干上回っている。

クロバチャーにとっての5位は致命的である。

同じく大打撃を受けたのはバイデンだ。たとえ勝利が期待されていなかったとしても、3位の16%は元副大統領としてあまりに不甲斐ない。一部の集会場では15%を下回っていたらしい。本命扱いされていたのに、早速、窮地に立たされてしまった。

ウォーレンにとって、3位の18%はなんとか面目を保てたものの、イマイチ。世論調査で失速していたのが証明された形である。

サンダースにとって、アイオワの結果は期待通りだったと言える。唯一想定外だったのは、ブティジェッジが主な競合になったことぐらいか。

ブティジェッジにとっては、アイオワでの勝利は必須であった。選挙資金も知名度も乏しい彼には、アイオワに全てを賭ける戦略しか残っていなかったのだ。アイオワでの勝利は、その戦略が辛うじて功を奏したというところである。

【ニュー・ハンプシャー州予備選挙〜バイデンは小差に持ち込めるのか?】

アイオワ州の次は、現地時間の2月11日(火)に実施されるニュー・ハンプシャー州の予備選挙。

サンダース、ウォーレン候補とも地元の州はニュー・ハンプシャー州に隣接しているが、現在の世論調査によると、サンダースが大きくリードしている。これは4年前にここでサンダースがクリントン相手に圧勝した効果かもしれない。

サンダースをバイデン、ウォーレン、ブティジェッジが追う構図はアイオワ州と同じだが、投票日が近づくにつれて、アイオワ州の影響が現れてくると思われる。ウォーレンがアイオワ州で苦戦すればニュー・ハンプシャー州の結果にも響き、結果として、ブティジェッジが健闘する可能性もある。

ニュー・ハンプシャー州で注目すべきはバイデン前副大統領だろう。1973年に上院議員になって以来政治一筋で生きてきたこの人は、現代の民主党の基盤となっている若者・富裕層リベラル派にはからっきり人気がない。にもかかわらず、民主党内では未だ評価が高いオバマ大統領政権の副大統領という肩書きと、民主党の過去の基盤であった白人労働者の間での人気をバネに、地味さや度々の失言を跳ね返して、出馬表明以降ずっと上位を維持している。

バイデンにとって重要なのは、アイオワ州とニュー・ハンプシャー州でサンダースに圧勝を許さないことである。3位など論外で、小差で2位に入らないと、マスコミから、「本命」に代わって「期待はずれ」の烙印を押されかねない。

なお、通常はアイオワ州とニュー・ハンプシャー州の結果を踏まえて撤退する候補が出てくる。クロバチャーがいずれの州でも上位に食い込めないと、(全国的には魅力的な候補だと思われるのだが)撤退を強いられるだろう。

〜[2/9]アイオワ州の結果を踏まえて〜

アイオワ州で5位だったクロバチャーは勢いがつかず、ニュー・ハンプシャー州でも上位3位に入れないまま、撤退が確実。

バイデンは、アイオワ州で惨敗し、すでに「期待はずれ」と囁き始められている。ニュー・ハンプシャー州で少なくとも上位3位に入れないと、この先待っている、彼により有利な州での予備選や党員集会でさえも彼の優位な立場が危うくなる。反対に、2位に入れれば、アイオワ州での苦戦後期待が落ちている分、「勝利」を宣言できる。

ウォーレンにとって、ニュー・ハンプシャー州は地元マサチューセッツ州の隣接州だ。ここで上位2位に入れないと、今後の展望が開けない。直近の世論調査では、3位、4位をバイデンと競っている。万一4位にでもなれば、致命的だ。

ブティジェッジにとっては、アイオワ州での勝利がニュー・ハンプシャー州での健闘に繋がるのは間違いないだろう。実際、直近の世論調査では急浮上している。反対に言えば、ここで上位2位か3位に入らないと、すぐに失速してしまう。

サンダースにとって、アイオワ州の結果はニュー・ハンプシャーでの優位な立場をなんら変えるものではない。万一ここで敗北したら、相当な打撃を受けるだろう。

〜[2/16]ニュー・ハンプシャー州の結果を踏まえて〜

バイデンの得票率は5位の8%。負けるにしても負け方というものがあり、5位とは泡沫候補レベルである。アイオワのダメージは致命的だったようで、支持層が崩壊しつつあるのは間違いない。

ウォーレンは4位の9%。明らかにリベラル層をサンダーズに奪われている。たった3ヶ月前まで世論調査で1位だったのにもかかわらず15%を下回って党大会代表者獲得なしとは、まさに終焉の始まりである。

クロバチャーは3位の20%。想定外の健闘で、首が繋がった。本来ならバイデンが獲得しているはずの中道派の表が流れたようである。

ブティジェッジはアイオワの勢いを維持する僅差2位の24%。勝利は逃したものの、たった2週間前の世論調査ではウォーレンと3位を競っていたのだから、大善戦と言える。

サンダーズは26%で1位。勝利は勝利だが、獲得できた党大会代表者の数はブティジェッジと変わらず、差がつかなかったのが懸念材料。

【ネバダ州党員集会〜バイデンは3連敗?】

ニュー・ハンプシャー州が終わるとマスコミはサウスカロライナ州に目を向けるが、近年はその前にネバダ州が党員集会を開催するようになった。今回も同様で、ネバダ党員集会は2月22日(土)に開催される。

過去の大統領選で重要な役割を担ってきてこなかったネバダ党員集会の結果が今年の指名レースにどこまで影響を及ぼすか未知数だが、世論調査によると、今のところバイデンがサンダースをリードしている。

ただ、差は5〜6ポイントと小さく、サンダースがアイオワ州とニュー・ハンプシャー州で勢いをつければ、逆転する可能性が高い。ちなみに、サンダースはここで4年前に僅差でクリントンに負けている。

〜[2/9]アイオワの結果を踏まえて〜

バイデンのアイオワ州での惨敗を踏まえると、ここでのサンダースの勝利は確実なものになったと思われる。そもそも党員集会の形式は、バイデンにとって不利なのだ。

〜[2/16]ニュー・ハンプシャー州の結果を踏まえて〜

サンダースにとっては、バイデンのアイオワ州、ニュー・ハンプシャー州での大敗を踏まえて、勝利は確実になったと考えていい。実際、直近の世論調査ではバイデンを7ポイントリードしている。

バイデンにとっては、2位に入れれば奇跡的と言える。

ウォーレンについては、直近の世論調査では未だ3位だが、もう過去の人と考えていい。

となると、注目すべきは誰が2位に浮上するか、だ。ネバダ州はヒスパニック系の有権者が多く、白人が有権者の大半を占めたアイオワ州とニュー・ハンプシャー州とは環境が大きく異なる。

ブティジェッジもクロバチャーも政策的には中道派とされているが、前者はマイノリティーの間で支持が低いのが前からの課題。

クロバチャーがもし2位に浮上できたら、見込みなしと見捨てられてたのに急に生還。得票率15%以上で党大会代表者が1人でも獲得するだけで十分本命入りできるかもしれない。

ブティジェッジとしては、2位を維持すればもちろんサンダースに替わる本命となるが、万一3位に落ちれば、持続性が問われることになるだろう。

〜[2/28]ネバダ州の結果を踏まえて〜

クロバチャーは泡沫候補レベルの4%で6位。ニュー・ハンプシャー州の「健闘」が勢いには繋がっておらず、Super Tuesdayでの撤退は確実。

ウォーレンは、4位の10%。この人の終わりも近い。

ブティジェッジは、遠く離された3位の14.3%。特に気になるのは、入口調査で黒人の2%、ラテン系有権者の11%からしか支持を受けていないという結果。民主党では、白人の支持だけでは指名候補になれない。

バイデンは、20%で「奇跡」の2位に入れたものの、サンダースとの差はダブルスコア以上。黒人から38%の支持を得ている以外、喜べることが乏しい結果である。

サンダースは47%。初めて地滑り的勝利を収められただけでなく、入口調査によると、ラテン系有権者から50%、黒人からも28%の支持を得ている。黒人層での支持が課題だったサンダースにとって、これほどの結果はない。

【サウスカロライナ州予備選挙〜バイデンの砦】

サンダースが3連勝したらその勢いで指名を確実にできるかというと、実はそうはいかない。2月29日(土)には彼にとって鬼門であるサウスカロライナ州の予備選が待っている。

南部にあるサウスカロライナ州では、黒人が民主党の基盤。この層でのサンダースの人気は皆無と言えるほどで、実際、サンダースは4年前に、ここでクリントンに対してトリプルスコアの惨敗を喫している。今回も同じ結果が想定され、最近の世論調査ではバイデンが独走している。

サウスカロライナ州の興味深いところは、有権者の思想や人種構成、そして文化がアイオワ州やニュー・ハンプシャー州と大きく異なるため、これら州の結果の影響を受けることが考えにくいところだ。

バイデンは、サウスカロライナ州で連敗を止められるはず。だが、反対に言えば、サウスカロライナ州でサンダースに楽勝できなければ、それはサンダースの勢いが相当なものであるからと考えられる。

ここでの僅差勝利は、バイデンとして致命的な傷になりうる。

〜[2/9]アイオワの結果を踏まえて〜

アイオワで勝利したブティジェッジは、実はサンダース並みに白人以外からの人気が低い。たとえニュー・ハンプシャー州やネバダ州でも勝利をしても、サウスカロライナ州で勝利を収められるとは考えにくい。これは、サンダースと全く同じ状況だ。

他方で、バイデンのアイオワでの4位という結果はあまりにひどすぎ、ニュー・ハンプシャー州やネバダ州で同じく惨敗を喫すると、さすがにサウスカロライナ州にも響くと思われる。勝ち目のない候補から票は逃げていくものだ。

ここでのバイデンの勝利は変わらないだろうが、僅差になる可能性が高まった。

〜[2/16]ニュー・ハンプシャー州の結果を踏まえて〜

バイデンにとって、アイオワ州とニュー・ハンプシャー州での結果は、「苦戦」の一言では片付けられないほどの惨敗であった。通常、これら2州の結果は、あまりに有権者の思想が異なるサウスカロライナ州には影響を及ぼさないのだが、「勝てない候補」のレッテルを貼られては話は別である。

直近の世論調査によると、バイデンの支持が崩れ始めている。サウスカロライナ州という最後の砦でも勝利を収められない可能性が高まっており、万一そうなると、バイデンに将来性はない。

サンダースは浮上しているが、南部は極めて保守的であり有権者層が黒人であることを踏まえると、得票率25%を超えられることは想定しにくい。

では、バイデンとサンダース以外の誰に票が集まるのか。

勢いのあるブティジェッジは、どこまで有権者に知られているか微妙だが、同性結婚者である。民主党員でさえ保守的な州で黒人に人気がなくては、健闘できるとは到底考えられない。

思想的にはクロバチャーに票が流れても不思議ではないのだが、この人はまだまだ未知数である。バイデンの支持が雪崩のように崩れない限り、3位が現実的な目標だろう。

〜[2/28]ネバダ州の結果を踏まえて〜

ブティジェッジにとって、ネバダ州での結果は、本当にサンダースと競える候補なのかを疑わせる結果であった。サウスカロライナ州で3位以下になるのは確実だが、さて、黒人に人気がなくてどこまで浮上できるかが課題だ。10%台だと、アイオワ州、ニュー・ハンプシャー州でつけた勢いが萎む。

バイデンにとっては、当初から、サウスカロライナ州での勝利は当然とみられていた。最初の3州で苦戦を舐めここでの勝利さえ危うくなってしまったが、世論調査を見ると、支持の暴落は落ち着きつつあるようだ。黒人層での支持をバネに10ポイント以上の差をつけて勝利しないと、展望が開けない。

サンダースにとって、サウスカロライナ州で2位以上になるのはもう確実。ここで逆転勝ちを収めることができれば、もう誰にも止められない。黒人から一定の支持を得られて僅差の2位に入るだけで、相当優勢と見られるだろう。

〜[3/1]サウスカロライナ州の結果を踏まえて〜

ウォーレンは7%で6位、クロバチャーは3%で7位と、まったく参戦できず。

ブティジェッジも8%で4位と、大きく残念な結果。アイオワ州、ニュー・ハンプシャー州の善戦は遥か昔に思える。意外にも、数日以内に撤退することが囁かれ始めているが、現実的にみると先がないのは明白なので、賢明な判断と言えよう。

サンダースは2位の20%でありつつも、バイデンに惨敗。出口調査によると、黒人の支持はたったの17%、白人の支持は23%、リベラル派層からの支持は25%と、バイデンの61%、33%、42%と大きく水を開かれている。喜べる要素が何一つない結果となった。

反対にバイデンにとっては、これ以上はないというほどの結果を出せた。得票率48%、サンダースとの差は30ポイント弱で、アイオワ州・ニューハンプシャー州での苦戦を吹き飛ばすような地滑り的勝利である。実際、ここでの勝利により、党大会代表者獲得レースでもブティジェッジを超えて2位に浮上し、僅差でサンダースを追いかける展開になった。

先週、多くの世論調査がサウスカロライナ州でのサンダースの追い上げを予測していた時、誰がこの結果を想定できたか。政治とは一寸先も闇、とはまさにこういうことを言う。

【Super Tuesday〜ブルームバーグ登場】

次に重要な日程は、3月3日(火)のSuper Tuesday。この日に、南部の7州、人口最多のカリフォルニア州、ウォーレンの地元であるマサチューセッツ州、サンダースの地元であるバーモント州など14の州で予備選が実施される。

ここで登場するのが、今まで全く話に出てこなかったブルームバーグ前ニューヨーク市市長。常識的に考えて、共和党公認で市長になった人が民主党の大統領候補になることはあり得ないのだが、この人には懐に底がないという武器がある。

ブルームバーグは、「初期の予備選」で他の候補が競っている間に、自分はSuper Tuesdayの州でガンガンとCMを流し知名度を上げることを目論んでいる。

この戦略を試みる候補が毎回現れるのだが、誰も成功したことがない。理由は極めて簡単で、アイオワ州、ニュー・ハンプシャー州、サウスカロライナ州に全米が注目している間、この戦略に出る候補は噂さえされなくなるからである。Super Tuesdayの頃には忘れられた人になってしまう。

ブルームバーグがいくらお金をつぎ込んでも、できてしまった流れには逆らえない。多くの州で得票率15%を下回り、翌日にでも即撤退するであろう。

〜[2/9]アイオワの結果を踏まえて〜

ブルームバーグにとって、アイオワ州でのバイデンの自滅ほど望んでいた結果はない。中道派であるバイデンの代わりとして、Super Tuesday以降、一定の存在感を示せる可能性が出てきた。

〜[2/16]ニュー・ハンプシャー州の結果を踏まえて〜

アイオワ州、ニュー・ハンプシャー州の結果は、ブルームバーグが想定するシナリオどおりのものとなった。

この人は、全米が「初期の予備選」に注目している間に、Super Tuesdayに予備選を実施する州で130億円分超のテレビのCMを流していたそうである。あまりに膨大な量のCMにテレビは圧倒され、最近、小学生の子が先生に対して「先生、マイケル・ブルームバーグって誰?」って聞くほどになっていることが報道された。

このCMの成果は数字にも現れ始めている。最近の世論調査では、Super Tuesdayの2週間後に予備選を実施するフロリダ州では1位に、 全国的の黒人の中での人気がバイデンに次ぐ2位に浮上している。

アイオワ州、ニュー・ハンプシャー州でサンダース、ブティジェッジ、クロバチャーやバイデンがKOなしの殴り合いをしているうちに、ブルームバーグが本命になり得る環境が整ってしまった。

問題は、これから先、他の候補の標的になるのが確実な中、有権者の審査に耐えられるか。

〜[2/28]ネバダ州の結果を踏まえて〜

ネバダ州でもサウスカロライナ州でも参戦しないブルームバーグだが、ネバダ党員集会の直前に開催された討論会には初めて参加した。

そして、自滅した。

300億円以上かけて流してるテレビCMと討論会で見る実物のうち、どちらの方が有権者に影響を及ぼす力が強いのか。お金のインパクトは侮れないが、それにしても、初めて有権者の前で見せたのが悲惨な姿では、急上昇してた支持も頭打ちになりそうである。

〜[3/1]サウスカロライナ州の結果を踏まえて〜

バイデンが躓くことが戦略のベースとなっているブルームバーグにとって、バイデンのサウスカロライナ州での圧勝は最悪のシナリオと言える。

もっとも、ブルームバーグは人の心配より自分の心配をする必要がある。ネバダ州での討論会に続いてサウスカロライナ州での討論会でも大した成果を出せず、有権者の中でのイメージが暴落中。実際、サウスカロライナ州予備選での世論調査では、ブルームバーグに対して良いイメージを持っている有権者は26%、悪いイメージを持っているのは66%という結果が出ている

票は金では買えない、というのは政治に精通している人なら知っていることだが、ブルームバーグがまさにそれを証明している。

サウスカロライナ州での勝利を勢いに、バイデンが「中道派」の本命と見做されると、ブルームバーグが500億円以上かけて建てた脆い地盤はいっぺんに崩壊する可能がある。

ブルームバーグが、Super Tuesdayで予備選を実施する14州のうちどこかで勝利を収める可能性はなくなっただろう。注目すべきは、得票率15%をどれくらいの州で超えられるか。大半の州で下回るようであれば、即撤退するであろう。

〜[3/8]Super Tuesdayの結果を踏まえて〜

本人は討論会で自滅。

バイデンはサウスカロライナ州での結果をバネに急上昇。

結果、Super Tuesdayでは惨敗し、翌日に即撤退。

資金に底がないブルームバーグでさえ、ここまで環境が揃っても実行できなかった「初期の予備選スキップ」戦略。

断言できる。この戦略が成功することは今後もない。

【Super Tuesday〜結果によってはBrokered conventionが現実味?】

ブルームバーグが参戦できないとなると、Super Tuesdayはサンダース、バイデンとウォーレンに加えて(存命していれば)ブティジェッジの戦いになる。

バイデンにとって、特に「初期の予備選」での成績が1勝3敗だと、Super Tuesdayの南部での勝利は必須と言える。この日の予備選には、南部とはいえ、よりリベラルな傾向があるテキサス州やバージニア州が含まれるため、全勝は保証されていない。さらに、南部以外でも勝利を掴めないと、この先の展望がひらけない。Super Tuesdayで南部の予備選はほぼ完結してしまうのだ。

サンダースとしては、Super Tuesdayで決着をつけられる立場にいるかもしれないが、この社会主義者が大統領候補に指名されることを望んでない党の権力者は多く、執行部が裏でウォーレンへの応援を活発化させてもおかしくない。

それにどれほど効果があるかは、ウォーレンが「初期の予備選」で健闘できているかによるだろう。

健闘できていれば、各州でのサンダースの圧勝を妨げていることを意味し、それは間接的に、バイデンがたとえ1勝しかできていなくても傷が浅く済んでいる可能性が高い。

ウォーレン善戦のシナリオだと、Super Tuesday後もサンダースが独走できず、バイデンが僅差で追い、ウォーレンも一定の党大会代表者獲得に成功し、brokered conventionが現実味を帯びてくる。

〜[2/9]アイオワの結果を踏まえて〜

アイオワ州で勝利したことにより、ブティジェッジはSuper Tuesdayまで存命できる。ウォーレンもアイオワ州で3位に入れたので、これでSuper Tuesdayまで乱立状態が続くのは確実になった。

ブティジェッジにとっての課題は、アイオワ州・ニューハンプシャー州の勢いを全国的に保てるかである。資金も大して残っておらず、白人以外からの人気がサンダースに匹敵するレベルの低さであることを踏まえると、それは疑わしい。

過去の大統領指名争いでは、多くの候補が、アイオワ州で想定外の勝利を収めたことにより、泡沫候補扱いを脱却しその後の予備選で上位には食い込めたものの、資金が底をついて指名候補になれなかった。ブティジェッジもその道を辿りそうな感じがする。

そうなると、当初から本命視されており、アイオワ州でも期待通りの成績を残せたサンダースがこのまま指名候補になれるのかというと、それもなかなか信じ難い。サンダースは自分が社会主義であることを明言している。社会主義・共産主義に拒否感がある米国で、果たして社会主義者が民主党の大統領候補になれるのだろうか。

しかし、サンダースではないなら、誰なのか。バイデンの株は下落気味で、ウォーレンはパッとせず、ブティジェッジは一発屋。Super Tuesdayにブルームバーグが登場して善戦すれば、指名争いはカオス化する。

そうなると、「まさか」のBrokered Conventionの可能性が「もしかすると」になってくる。

〜[2/16]ニュー・ハンプシャー州の結果を踏まえて〜

クロバチャーがニュー・ハンプシャー州で3位に入ったことで、有力候補が誰も撤退しないという前代未聞の状況のまま、Super Tuesdayに突入する。それどころか、ブルームバーグの参入により乱立状態が悪化し、もうカオス化は避けられない。

サンダースにとって、ニュー・ハンプシャー州での26%は実は大きな懸念材料を残す結果である。4年前に圧勝した州で、たった2週間前には泡沫候補扱いだったブティジェッジに対し、僅差の勝利しか収められないということは、支持にそう高くはない上限があるということを強く示唆する。

では他に誰がいるかというと、結局はどんぐりの背比べである。

重要なのは、そのどんぐりの中で誰が最も高いかではなく、民主党の大統領候補指名争いがどんぐりの背比べに陥ってしまった、という事実だ。

どんぐりの背比べでは、誰も党大会代表者の過半数を獲得できない。Super Tuesdayでサンダースが水をあけられないと、60年ぶりのBrokered Conventionが濃厚となってくる。

〜[2/28]ネバダ州の結果を踏まえて〜

結局、クロバチャーによるニュー・ハンプシャー州での健闘は、彼女の撤退を遅らせるだけの効果をもたらしたようである。結果、クロバチャー、ブティジェッジ、バイデンの3候補が完全にアンチ・サンダースの票を割っており、サンダースはどんぐりの背比べに参加していない。

Super Tuesdayでブルームバーグが参戦しますます票が割れると、結果、どの州でもサンダースが1位か2位に入り、他の候補を引き離し始めるだろう。

〜[3/1]サウスカロライナ州の結果を踏まえて〜

ブティジェッジがSuper Tuesday前に撤退するかは、Super Tuesdayの結果に重大な影響を及ぼす要素である。撤退すれば、彼の票は「中道派」の本命になりつつあるバイデンに流れるだろう。

クロバチャー、ウォーレンとも指名候補になれる道は閉ざされていると言えるのだが、前者の地元であるミネソタ州、後者の地元であるマサチューセッツ州がSuper Tuesdayに予備選を実施するので、Super Tuesday前の二人の撤退はないだろう。二人が撤退するといずれの州でもサンダースの勝利が想定されるので、クロバチャー、ウォーレンが指名争いに残ることは、これもまたバイデンにとって有利な要素だ。

バイデンにとっては、サウスカロライナ州で圧勝しただけで、急に将来が明るくなったと言える。上記の要素に加え、先週までの世論調査ではブルームバーグが南部の州で比較的健闘しており、バイデンと地盤が被っている分、ブルームバーグが総崩れになれば、バイデンに有利に働くのは間違いない。

しかし、バイデンにとっての課題は、サンダースが全国的に安定した支持を得ていることだ。人口最多のカリフォルニア州でサンダースが楽勝するのは確実のようだし(世論調査によると、バイデンは2位にすら入っていない)、彼は地元のバーモント州でも圧勝だろう。さらに、Super Tuesdayに予備選を実施する南部の7州のうち大半は黒人が少ないので、サンダースにとってはサウスカロライナ州よりずっと有利だ。

ということで、サンダースがSuper Tuesdayに最多の党大会代表者を獲得するのは間違いないと思われる。

バイデンにとって、Super Tuesdayの現実的な目標は、限りなく多数の南部の州で勝利を収め、党大会代表者獲得レースでサンダースとの差を追いつける程度にとどめ、他の候補を撤退に追い込むことだろう。そのためには、アラバマ州、アルカンソー州、ノースカロライナ州、オクラホマ州、テネシー州での勝利は必須で、一つでも落とせばサンダースの勢いを止めるのは厳しくなりそう。他方で、これらすべてで勝利を収めるだけでなく、テキサス州とバージニア州でも勝利できれば、大善戦と言える。

〜[3/8]Super Tuesdayの結果を踏まえて〜

Super Tuesdayのたった4日前、誰がこのような結果を予測できただろうか。

ブティジェッジに加えて、なんとクロバチャーまでも撤退。

バイデンは、南部を一掃するだけでなく、接戦が予測されていたテキサス州に加え、クロバチャーの地元ミネソタ州およびウォーレンの地元マサチューセッツでも想定外の勝利。開票が最も早かったバージニア州での30ポイント以上の圧勝が、全国的な勝利を示唆していた。

サンダースの勝利は地元のバーモント州、ユタ州、コロラド州およびカリフォルニア州に留まった。南部で惨敗を喫したため、党大会代表者獲得レースでも遅れをとっている。

5日間弱での撤退間際から本命への浮上は前代未聞だが、その背景には次の三つの要素が見られる。

① 60%の黒人がバイデンを支持

② 投票日の数日以内に投票先を決めた有権者の間で、バイデンはサンダースを30ポイント以上の差で圧倒

② ブティジェッジおよびクロバチャーが撤退し、中道派の票がいっぺんにバイデンに集約

いずれもバイデンのサウスカロライナ州での圧勝が直接もたらした結果だ。サウスカロライナ州、恐るべし。

【ジョーの読み】

ではBrokered conventionの可能性はどれほどあるのか。

4年前、8年前の共和党の指名争いでもbrokered conventionの可能性が囁かれたが、結局は首位を走っていた候補が流れを加速させ、思われてた以上に早く指名を確実にしている。

現代の指名プロセスでは、Brokered conventionは極めて起こりにくい現象なのだ。

では、Brokered conventionが起こらないのであれば、 誰が予備選期間中に指名を確実にするのか。

僕の推測では、バイデンだ。

サンダースは世論調査が示しているほど強くなく、ウォーレンは最近支持率回復気味。結果、アイオワ州とニュー・ハンプシャー州で二人が票を割り、根強く安定しているバイデンが漁夫の利を得る。そして、サウスカロライナ州での勝利をバネにSuper Tuesdayでサンダースを超える勝利を収め、その勢いで5月には党大会代表者の過半数を確保する、というのが僕の読みである。

もっとも、政治好きとしてはbrokered conventionというものを一度は見てみたいものだが。

〜[2/9]アイオワの結果を踏まえて〜

アイオワでの結果を踏まえても、僕は未だにバイデンが指名候補になると考えているが、それは他の誰しもが指名候補になることが想像できないからである。バイデンの他にも、黒人にも一定の人気があり中道派の候補がいればその人になると思うのだが、今回はそういった候補がいないのだ。

〜[2/16]ニュー・ハンプシャー州の結果を踏まえて〜

ニュー・ハンプシャー州での惨敗で、バイデンが指名候補になることはあり得なくなった。しかし、たとえ暴落気味でもサウスカロライナ州でなんとか勝利を収めれば、バイデンはSuper Tuesdayの結果に関わらず、撤退しない。

そして、ブルームバーグがSuper Tuesdayで複数の州で2位、3位に入りでもすれば、もうその後の展開は読みようがない。

僕は、歴史的に見るとあり得ないことを予想する。

今年の指名争いは多分Brokered Conventionになる。

〜[2/28]ネバダ州の結果を踏まえて〜

サンダースが優勢であることはもう否定できない。

ここまでくると、たとえサンダースが党大会代表者の過半数を獲得できなくても、他の候補に結構な差をつけることが予想されてくる。誰も党大会代表者の過半数を確保しないと厳密に言えばBrokered Conventionになるが、党員が民主主義的に1位に選んだ候補から政治の駆け引きで大統領選指名候補の地位を奪うことは、このご時世、現実的ではない。

バイデンかブルームバーグが残りの予備選でサンダースとの差を縮めない限り、党大会で覆すのは相当ハードルが高い。そして、民主党の比例分配制度だと、一旦差がついてしまった党大会代表者獲得レースで巻き返すのはほぼ不可能だ。

信じられないことだが、サンダースが大統領指名候補になることが濃厚になってきた。

〜[3/1]サウスカロライナ州の結果を踏まえて〜

大統領選の予備選は特に流動的だと言われるが、ここまでとは。

泡沫候補扱いされていたバイデンがサウスカロライナ州で圧勝したことにより、結局、当初想定されていたサンダース対バイデンの構図に落ち着きそうである。

とはいえ、バイデンが「初期の予備選」で3連敗した後遺症は当然残るわけであり、指名争いでサンダースが優勢に立っていることには変わりない。ただ、より保守的なサウスカロライナ州でバイデンがサンダースの弱点をついたことは否定できず、サンダースとバイデン以外の候補がSuper Tuesday後に撤退すると、社会主義に拒否感を持つ「中道派」がバイデンにまとまるのは確実だろう。

バイデンがサンダースに党大会代表者獲得レースで追いつくかは別として、Brokered Conventionになるのはほぼ確実になっただろう。そして、党大会代表者獲得レースでの差が、バイデンが党大会で指名候補の地位を獲得できるかにかかっている。

僕の読みでは、Super Tuesday以降はサンダース対バイデンの戦いになり、党大会代表者獲得レースでバイデンは巻き返しつつも、僅差でサンダースに遅れを取る。

そうなった場合、党大会での政治の駆け引きがどうなるかは、想像もつかない。なにせ、近代では事例がないのだ。

〜[3/8]Super Tuesdayの結果を踏まえて〜

バイデンがSuper Tuesdayに全国的な勝利を収めたことにより、指名候補になることは確実となった。

サンダースは既に党大会代表者獲得レースでバイデンに遅れをとってしまったため複数の州でバイデンに圧勝しなければ追いつかないのだが、この先予備選が実施されるのはミシシッピ州(3月10日)、フロリダ州(3月17日)、ジョージア州(3月24日)など、反対にバイデンが圧勝することが想定されるところが多い。

バイデンが本命であること、社会主義者であるサンダースは米国では大統領になれないこと、ブルームバーグの戦略は成功しないこと、Brokered Conventionにはならないこと。

いずれも僕が当初から予測していたことだが、今年の予備選を「予想通り」というのは、ジェットコースターがちゃんと元に戻ってくると言うのと似ている。

いずれも、始まりと終わりの間の乱高下を無視している。

 
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