最近よく見かける、「得意な英語を聞かせたい」症候群(後編)

前篇から続く)

このように敬遠されがちな離陸後アナウンスの英語版だが、たまにやたらと英語を話したがるパイロットがいる。

一番わかり易かったのは、日本語より先に英語でアナウンスを始めたパイロット。最初は外人VIPでも乗せているのかと思ったが、その後、やれトイレに行った後は必ずシートベルトを締めるようにしてくださいやら、やれ気流がどう飛行時間に影響を及ぼしているやら、やれ飛行中の何時の何処あたりが景色の見どころやら、流暢な英語で長々と説明されるのを聞いて、なるほど、この人は英語を使ってかっこつけたいだけなのだな、と納得した。

そういえば、渋谷を散策していると、むやみに日本語を話したがる外人を見かけることがある。特に欧州人男性が日本人女性に話しかけているパターンが多く、よくよく考えてみたら、これら外人は自慢の日本語を見せびらかして日本人をナンパしているのだろう。

つまりは、日本人パイロットの逆パターンである。

ここまで気付くと、実は一つ気になることが出てきた。それは、どういうわけかよく外人に間違えられる僕が、カッコつけるために苦手な日本語を頑張って使っていると思われているのではないか、という心配である。

まさかそんなことはないと思うが、自分の名誉に関わることなので、念のために二点ほど強調しておく。

まず、僕は日本人両親に生まれた日本育ちの日本語がネイティブな純粋日本人なので、言語でカッコつけるとしたら英語である。

さらには、英語など話せなくとも、僕はそもそも両腕に時計をつけている時点で 既にカッコいいのである。

 

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