節操なく商業化が最優先される米国スポーツ(後編)
(前編から続く)
たとえば、バスケ。このスポーツは、19世紀に開発された当初はサッカーのようにプレイを流したままだったが、今ではその面影がまったくない。
米国バスケリーグNBAはクオーター制を用いて、各チームに7つずつタイムアウトを与えている。NFLと同じように試合の仕組みとして中断を設けているわけだが、アメフトと違ってプレイが連続的なので、監督がタイムアウトを取らない限り試合は中断しない。
そこでNBAは、CMのために合計8回タイムアウトが取られることをルールで定めてしまった。この「必須タイムアウト」の長さは、地方放送だと2分45秒、全国放送だと3分15秒と決まっており、リーグの規定がスポンサーを意識しているところがえげつない。
アイスホッケーはバスケよりもっとプレイが連続的なスポーツである。発祥地はカナダなのに、北米アイスホッケーリーグであるNHLは、このスポーツを完全に米国化・商業化してしまった。
NHLの試合は3つの「ピリオド」に分けられていて、各チームに1つずつタイムアウトが与えられている。アメフトやバスケと比べると自然の中断が限られているので、NHLはマネタイズのために、合計9回の「テレビタイムアウト」を義務付けている。
ちなみに、米国にもMLSと呼ばれるサッカーリーグがあるが、MLSは試合を中断してCMをねじ込むような真似はしていない。さすがに、世界でルールが確定しているスポーツを米国化することはできなかったのだろう。
米国のスポーツ商業化の効果は抜群だ。NFLの年間収益は230億ドル(約3.7兆円)で、サッカープレミアリーグの年間収益は60億ユーロ(約1.1兆円)。アメフトのファンは基本米国にしかいないのに、グローバル的な人気があるプレミアリーグの3倍もの収益がある。
この格差は、スポーツの性質などお構いなしに、ルールを変えてでも商業化に走る米国の節操なさにあるのだろう。
