司法試験に二回落ちた小室圭が優先すべきは、職ではなく試験(前編)

哀れなことに、小室圭がニューヨーク司法試験に2度目も落ちてしまったそうである。彼が辿ってきた米国ロースクールへの進学と彼が望むロイヤーとしてのキャリアを経験してきた者として、僕なりに彼が今後どうすべきなのかを考えてみた。

【現在すでに弁護士扱い】

まず現状をおさらいすると、小室圭はニュージャージー州の一流法律事務所であるローウェンスタイン・サンドラー(Lowenstein Sandler)のニューヨーク支部に勤務している。これは大阪に本拠点を置いている法律事務所の東京オフィスに所属しているようなものである。

肩書きは「Law Clerk」。これは弁護士として採用されながらも、司法試験の合格や倫理的適切性の審査といった弁護士になるための正式プロセスを完了しておらず、「弁護士になる予定だけどまだなれてない」宙ぶらりん状態であることを意味する

「Law Clerk」を直訳して彼をまるで事務員のように扱うのは誤りである。大手法律事務所が単なる事務員のプロフィールをウェブページに掲載するはずがなく、彼のプロフィールがローウェンスタイン事務所のホームページに載っている以上、彼が弁護士として採用されていることは間違いない。仕事も新卒弁護士としての業務を任せられているはずだ。

よって、報酬も弁護士並みの金額のはず。近年、ニューヨーク大手法律事務所の弁護士の報酬はうなぎのぼりであり、ローウェンスタインでも1年目の弁護士に概ね相場通りの2000万円超を支払っている

【司法試験を2回も落ちるのは大ピンチ】

そこまでの報酬をもらっていたら、当然のことながら期待されていることも数多である。そして、期待されていることの最低限が、司法試験に合格して弁護士になることだ。

繰り返しになるが、小室圭は弁護士として採用されている。司法試験を合格すれば待遇がよくなるのではなく、既に弁護士としての待遇を受けているのだ。司法試験に合格できないということは、現在の職務要件を満たせていないということになる。

これはとてもまずい。

なにしろ、米国の司法試験は合格するようにできているのだ。彼や僕のように米国弁護士協会(American Bar Association)が認定するロースクールに3年間通いJuris Doctorと呼ばれる学位を取得した人にとって、初受験の合格率は概ね85%。実際、小室圭が1回目に受けた2021年7月の試験でも、初受験者の合格率は例年並みの87%だった。

1回目で不合格だった人の多くは2月の試験で再チャレンジする。しかし、再受験者の合格率は極端に低い。2021年2月の試験での再受験者の合格率は38%で、(初受験者の合格率が87%だった)2021年7月の試験での再受験者の合格率はもっと低い21%だった。要は、落ちてはいけない試験に落ちる人は、2度も3度も落ちてしまうのだ。

ローウェンスタインレベルの法律事務所だと、大半の新人はちゃんと1度目で司法試験に合格する。毎年1人くらいは不合格になるのだが、猿も木から落ちると言われるだけに、大手事務所は1回目が不合格だった新人に対して寛大的である。実際、小室圭も1回目の不合格の結果が出た後も事務所での勤務を続けられた。

しかし、2回目も不合格となると話は別だ。

司法試験に数回落ちた有名人を、僕はジョン・F・ケネディ・ジュニアしか知らない。こういう人に対してローウェンスタインのような事務所が3度目のチャンスをくれるとは考えにくい。(これはブルームバーグによる報道が示唆しているとおりである)。これはある意味当然であり、事務所からしたら、小室圭が次に司法試験を受験する頃には翌年の新人入所を間近に控えており、何回も司法試験に合格できない”新人”の面倒をみるどころではないだろう。

後編に続く)

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