僕は近所のコンビニで働いてるツダくんに認めてもらいたい(後編)

前編から続く)

こんな風に優秀なツダくんに烙印を押されると、僕は耐えられなくなる。彼の冷ややかな視線があまりに辛く、僕は時々、店に一歩足を踏みれて店員が彼しかいないのを見ると、脱出して5分離れたコンビニまでわざわざ足を運ぶことがある。

たまに、ツダくんではないバイトのお姉ちゃんがレジにいることがある。彼女は、僕がポイントカードを通すことに失敗しても「通らなかったみたいです〜」と寝ぼけた声で優しく接してくれるので、僕は彼女がいる時は勇気を振り絞って店に入り、列に並びながら彼女が僕の対応をしてくれることを祈る。

しかし、天然のお姉ちゃんより優秀なツダくんの方が勤勉のようである。大抵の日はツダくんしかレジにいないので、結局僕はツダくんを避けられない運命にいる。

そんなツダくんに対して、僕は一つだけお願いがある。

僕に弁明する機会を与えてもらいたい。そうすれば、僕は彼が思っているよりずっとできる人間なんだということを分かってもらえると思う。

たとえば、優しいお姉ちゃんがレジ打ちの時は、5割以上の確率でちゃんと1回目でポイントカードが読み取れていることを指摘したい。ツダくんがレジ打ちの時に何度もカードを通さなきゃならないのは、彼が優秀すぎて、僕が彼の前で緊張しちゃうからだ。

さらに、ツダくんは僕について「ポイントカードを読取機に通せないようなヤツは何もできない」と人間としての価値を全面否定してそうなので、僕は彼に対して、自分がちゃんと仕事をしており、給料も貰えて、自立した生活ができていることを説明したい。僕が日常生活でプータローにしか見えないところも、ツダくんに評価してもらうためには改めようかと思っている。

このように、僕は一般的に常に誰からも愛されたいキャラだが、今の僕は、ツダくんにだけは認めてもらいたいとの一心だ。

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