政権が取れちゃうからこそ、僕は政治家にならない(前編)

全国を彷徨っては選挙の手伝いをしている僕は、「ジョーさんは出馬しないんですか」とたまに聞かれることがある。

この質問に対して、僕は断言できる。絶対に出馬しない。

理由は、やりたくないからとかできないから、というわけではない。それどころか、政策に無関心で政局にしか興味がなく、金が大好き話術の才能があり、面倒見がよくてそつなく実務をこなす僕なんかがその気になったら、初当選から10年以内で政権を取り、10年間の長期政権を築いた後、10年間は院政を敷いてしまう。

「政治家の仕事は選挙」が持論1である僕は、政策には基本的に無頓着だ。東京で開催される政策勉強会なんぞは生真面目秀才議員にお任せし、僕は地元で田中角栄並みの話術で有権者の心をゲットし、バカのように振る舞う自虐的ユーモアで失言もスキャンダルも跳ね返せる「テフロンのジョー」になる。

「政治はカネ」が持論2である僕は、資金集めに奔走する。金がなくては、事務所も維持できなければチラシ一枚も送れない。さらに、献金してくれる有権者は投票という面倒な行為に必ず出てくれる。選挙には金が必要で、金を集めれば票が増える。このように一石二鳥になる金集めには、年中燃える。

「政治力は数」が持論3である僕は、地元にいないときは、もっぱら自分の勢力を拡大することに専念する。後輩議員とは定期的な会食で相談に乗ってやり、同期とは戦友として愚痴をこぼしあい、先輩議員からはありがたい意見を仰いで、満遍なくジョーのファンを増やし、ジョー派閥を強力なものにしていく。

「政治家の傷は身内から」が持論4である僕は、秘書とスタッフには、有権者に対してうまく僕の不備をフォローする才能と、事務所を円滑に回す能力と、金銭問題みたいなアホな問題を起こさない倫理観を徹底的に求める。それらすべてを備えている秘書・スタッフは数少ないので、見つかったら報酬なり待遇なりで重宝する。

後編に続く)

 

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