同じ映画好きでも鑑賞習慣が大きく異なる日本人と米国人

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あまり知られていないことだが、興行収入でみる日本の映画市場の規模は、米国、中国、インドに次ぐ世界4番目である。米国はハリウッドの国であり、中国・インドは人口12億人以上の大国であることを踏まえると、日本人は相当な映画好きであることが分かる。

もっとも、同じ映画好きの米国人と日本人でも、映画鑑賞の習慣は面白いほど異なる。

たとえば映画を観に行く時間帯。日本では週末の昼間に映画を鑑賞するのが普通だ。映画館は午前中から混雑しており、ピークは15時頃だろうか。僕もこの習慣に合わせて、近年は土曜か日曜の午後に映画を観た後、その足で夕食に行き映画の感想を語り合うことが多い。

これは僕が米国にいた時と順序が真逆である。

米国では昼間に映画館に行くという習慣があまりない。余りにもないため、16時前の上映時間はマティネー(matinée)と呼ばれ、チケットが2~3割安くなる。

高校生時代に一度だけ、朝11時上映の映画を観に行ったことがある。その時に観た映画のことは駄作であったということしか覚えてないが、映画館から出てきてまだ明るかったことに対する違和感は今でも忘れられない。だから米国時代の僕は、必ず夕食を食べてから映画館に向かった。

ところが習慣とは恐ろしいもので、今年の頭に久しぶりに米国で生活していた時は、なんの躊躇いもなく15時に映画を観に行っていた。閑散とした映画館でぽつんと一人で鑑賞しながら、そう言えばこの時間帯はマティネーだった、道理でチケットが安いわけだ、いうことに気付いた。

ちなみに、映画を観る時間帯が昼夜で逆だと、映画を観に行く曜日も異なってくる。日本の映画館は日曜日もそこそこの収入がありそうだが、米国の映画館の稼ぎ頭は金曜日、土曜日である。考えてみれば当たり前で、翌朝から学校や仕事がある日曜の夜22時など誰も映画に行こうとは思わない。米国では金曜日が「週末」に含まれる習慣があるが、それは金曜の夜には映画を観に行く楽しみが待っているからかもしれない。

日本と米国では映画を鑑賞する時間帯が異なれば、鑑賞する時期も異なる。

夏といえば目玉の作品が上映される季節だが、日米では「映画の夏」の時期が微妙に違う。米国では、大学生の夏休みが始まる5月末から目玉の映画が上映され始めるが、8月に入るとからっきり観たい映画がなくなってしまう。これは米国人は学校が始まる9月前に家族旅行に行くため8月中は家にいないためらしく、試写会で不評な映画は必ず8月に投げ売りされる。8月中に1日3本も鑑賞したくなる日本とはえらい違いである。

でも、何より日本と米国で違うのは、日本人は映画を最後の最後まで見るところである。

米国では、映画の本編が終わってエンドロールが流れ始めた途端、誰しもが立ち上がって出口に向かう。僕の大学時代の友達に、「映画製作に関係した人達に敬意を示したい」と訳のわからない理屈を付けてエンドロールを最後まで観るヤツがいるが、彼ははっきり言って映画館を出ようとしている人の邪魔である。

ところが日本では、この友達の迷惑行為が罷り通っている。

なぜ、と思う。映画にそこそこ詳しい僕でさえエンドロールを読もうとは思わないのだから、一般の人がエンドロールに興味を持っているとは思えない。とするとこれは行儀の問題なのか。暗い中出ようとして人の足を踏んでは失礼だから電気が点くまで我慢するとか。

どうであれ、映画を観に行く時間帯も曜日も時期も日本に合わせるようになった僕は、こればっかりは合わせるつもりはない。

腹が減ってるのだから、本編が終わったらさっさと脱出させてほしいのだ。

 

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