ファーストクラスのいろいろ(前編)

この前、久しぶりにアメリカに行った。別に小室圭の勤務先について調査しに行ったわけではなく、コロナ期間中にだいぶ貯まったマイルを失効する前に使い切ろうと思っただけである。

コロナが落ち着きつつある昨今、航空会社は大層繁盛しているようで、ビジネスクラスへのアップグレードは最後まで待たされたが、間際になんとかアップグレードされ、無事、エコノミークラスのチケットで優越感たっぷりの旅を楽しめることになった。

ということで、僕はいつも通り早めに空港に足を運び、ラウンジでうどんを三杯、いなり寿司を8つ、ミニおにぎりを数えきれないほど食べた。ワインも飲んでだいぶできあがってきた頃、「そろそろ搭乗時間だな」と思って出発便案内のモニターを確認すると、NY便は「定刻」となっていたので、すぐに荷物を纏めてゲートに向かった。なぜ最後までラウンジにいないかというと、さっさと搭乗して後から乗ってくる乗客に優越感を感じたいためである。

さて、ゲートに着くと、何か様子がおかしい。大勢がゲート前でたむろっているものの、列を作っている感じではないのだ。もしかして遅延かと思っていたら、案の定、「清掃に時間がかかっており、搭乗時刻が15分遅れます」といったアナウンスが流れる。ちぇ、と思いながらも、優越感を味わいたい僕はせっかちな人たちと列に並ぶ。

しかし、約束された15分が経っても、一向に搭乗が始まらない。穏やかな僕でさえしびれを切らしていたら、「機内の準備確認のため、搭乗時刻は更に遅れます」といったアナウンスがあり、既に長時間待たされていた列の仲間らがブーブー言う。

やっと搭乗が始まったのは、更に15分ほど待たされてから。まずはファーストクラスの客から搭乗していくが、ファーストクラスなんて数席しかないので、ビジネスクラスの搭乗はすぐに始まる。8番目くらいで待っていた僕が「さっさと乗ろんか」と急かしていたところ、搭乗が完了していたはずのファーストクラスの列に急に人が現れる。

「ファーストクラスのくせになんてとろいヤツなんだ」と蔑んだものの、すぐに自分の身分を思い出し、ファーストクラスの客を先に通そうとその人の顔を見たら、何と、知った顔ではないか。

知った顔どころか、大変お世話になった方である。前職の上司である。僕の憧れの人である。

彼の周辺をよく見ると、航空会社のお付き人が同行していて、搭乗の面倒を見ている。

そこでようやく、僕はなにが起こっているのかを理解した。要は、彼にはお付き人が付いていたので、お迎えが来るまでラウンジで寛いでいたのだ。ファーストクラスとはいえ、列で待つようなことは凡人・平民がすることで、このような方がすることではなかったのだ。

上には上がいることを改めて思い知らされた。

後編に続く)

 

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