2000円札は、実は1円玉や5円玉より便利(後編)

前編から続く)

もっとも、大半の人が2000円札が不便だと思い込んでいることには、それなりの理由がある。

2000円札はもともと、西暦2000年とその年に実施された沖縄サミットを記念して、1999年に当時の小渕恵三首相により発案され、2000年に発行が開始されたものである。公表から発行まで1年間しかなく、この期間は異常に短い。現在予定されている新紙幣への改刷は、2019年4月に公表され2024年上旬に発行が始まるので、5年近い期間がある。偽造対策のために実施された前回の改刷は、2002年8月に公表され2004年11月から発行が始まり、早かったと言われながらも2年3ヶ月の期間があった。2000円札の1年間がどれだけ短かったかがよく分かる。

公表から発行の期間が短いと、当然のことながら、自動販売機の対応が間に合わない。よって、2000円札が発行された初期の頃は新紙幣の珍しさから盛り上がったものの、実際に使おうとすると多くの機械が受け付けておらず、結果として「2000円札は不便」という印象が根付いてしまった。数年後、大半の自動販売機が2000円札に対応できるようになった頃には後の祭りで、2000円札はもはや忘れられた存在になってしまっていたわけである。

僕は、そんな可哀想な運命になった2000円札の名誉回復に日常生活を捧げている。皆さんも、僕から2000円札をもらう際には、”こんな不便なお札イヤだ”と嫌味を言うのではなく、ありがたく頂戴し、翌日から日常生活で使ってもらいたいと思う。

そうすれば、いかに2000円札が便利であるか、皆さんも分かるようになるはずだ。

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