二千円札を持ち歩く些細な楽しみ

これはタクシーの運ちゃんとの戦闘をきっかけに持ち歩くようになった二千円札が与えてくる日常的な楽しみの話である。今年ダントツにアクセス数が多かった投稿の続編を書く事により、その投稿の反響を再現しようという下心が見え見えであろうか。

二千円札を持ち歩いていると色々な所で面白い経験が出来る。一番笑えるのがお釣りの勘定で店の人が混乱してしまうこと。二千円札に対するお釣りは通常ではあり得ない金額であるため、突拍子もないお釣りが戻ってくる。

例えばこの前旅行先でお土産を買った時。僕は57円の豆腐も平気で二千円札を使って購買するのだから、当然の事ながら2400円弱の支払いに対し二千円札2枚を出した。店の人、「はい4千円ね」と言いながら受け取ってるのにもかかわらず、店の奥に行き千円札を4枚持ち出し、その上に小銭を乗せて僕にお釣りとして差し出した。「差し上げたのは4000円でしたけれど」と指摘したのだが、状況を把握するまでさらにたっぷり15秒はかかった。こういう事がよくあると事前に父に話していたのだが、実際に目撃するまでは信じられず、このやり取りの間ずっと笑いをかみ殺していた。

僕は別に嫌みで二千円札を使う訳ではないのだが、受け取るほうは大分嫌がるようだ。これは僕の同僚がタクシーの運ちゃんに確認済みで、その際に「貰ったらすぐに近くのコンビニかどこかで使います」とまで言われてしまった。ちょっと言い過ぎで失礼ではないか、と思ったのだが、よくよく考えてみたら、職場でも同じことが起こっている。当然僕は同僚が立替えた夕食代の勘定の精算などを二千円札で済ますのだが、その二千円札はすぐに他の人にお釣りやらの形でグルグルグルグル行き渡る。これでは完全にババ抜きだ。

とは言いつつも、同僚もたまには二千円札の恩恵を認める。僕の職場では毎朝、全員で地下にあるスタバにコーヒーを買いに行く習慣がある。ある日、朝一番に僕から受け取った二千円札をいつもの調子で最も早く無くそうとスタバで使ったら、お店のかわいい子が「うわー二千円札だ、めずらしいー」とはしゃいだらしい。その時彼女が見せた笑顔でいっぺんに元気になった、と二千円札の効果を認めたので、「ほらいいこともあるだろう」とまるでそれが狙いだったかのように僕は胸を張った。

確かに二千円札は珍しいので、僕が二千円札を持っている事がよく会話の種になる。というか、自ら会話の種にしている。この話をするとまず聞かれるのが「どのようにして手に入れられたのか」なのだが、これは通常の人が普通の生活をしていれば二千円札など絶対に手の元に収まる事など無いからだろう。

沖縄では二千円札は流通しているらしく、「沖縄へ行ってきました」と答えるのも良い話の展開かもしれないが、流石に年中沖縄に行っているふりをする訳にもいかない。では東京でどのようにすれば手に入るかと言うと、実は銀行の窓口へ行けば普通にくれる。

「ジョー、暇だなー」と言われそうだが、実際当初は二千円札を要請すると30分近く待たされた。それがこの前は5分程度ですんだ。これはきっと、昔は奥の金庫に保管していた二千円札の束を、最近は2週間に一度ぐらいの頻度で定期的に二千円札を要請に来る僕がいるため、千円札、五千円札、一万円札と同じく二千円札も取り扱い易い場所に置くようになったのだろう。僕のために銀行が札束を準備して待っていてくれるとは、何とも光栄な事である。

考えてみれば僕の二千円札へのこだわりで一番喜んでいるのは僕が使うみずほ銀行の本店かもしれない。ある銀行員から聞いた話によると、2000年に二千円札が発行されてから数年間、日本の大手銀行は日銀に大分二千円札を押し付けられたらしい。一時はATMから二千円札しか出てこなかったり、銀行員のボーナスが二千円札で支払われた時もあったらしい。そんな事をしても結局二千円札は全く流通しなかったため、どの銀行も随分とその頃の二千円札を持て余しているようだ。その嫌われ方は異常で、最後に印刷されてから9年も経つのに、未だ二千円札を要請すればほとんど新券が出てくる。銀行から見たら二千円札を要請する人は、要らぬゴミを喜んで引き取ってくれる人並みに歓迎だろう。

という訳で、僕の二千円札との毎日の楽しみを、皆様も簡単に経験できる。二千円札しか持っていないと自動販売機などで使えなくて日常生活に困るのではないか、と思っている方々、ご心配なく!僕は既に半年以上、二千円札のみを使っているが、使用できなくて困った事は一度も無い。五千円札、一万円札を取る所は必ず二千円札も取る。地下鉄の切符売り場、ラーメン券の販売機など、使えなさそうな場所でも大丈夫。だからみんなも近くの銀行の窓口に行って二千円札でお金を引き出し、僕の日常の些細な楽しみを味わおう!

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