八方美人といらぬ遠慮は反対に迷惑(前編)

先日、自分の性格について改めて省みるちょっとした出来事があった。

その時の僕はファミレスにいて、既に注文を終わらせ料理が出てくるのを待っている状態だった。そこに手ぶらの女性一人が現れ、右隣の席に座った。彼女は座って早々にメニューを開き、店員が水とおしぼりを持ってくるのも待たず、スープとパスタを注文した。ちなみに、僕はちょっと前にじっくりメニューを研究した後、海鮮サラダとオニオングラタンスープ、ハンバーグとライスセットのフルコースメニューを注文したばかりだった。

隣の彼女は大分せっかちで、注文を終わらすとすぐに席を立ちトイレに向かった。僕といえば、彼女より先にメインの注文を終わらせてはいたものの、その後もメニューを眺めながらデザートを抹茶パフェにしようかチョコバナナパフェにしようか悩んでいる真っ最中だった。

数分後、店員が別の客を連れてやってきた。「おや」と思いながら観察していると、店員はこの新しいお客さんを同じ右隣の席に案内してしまった。テーブルには水もおしぼりもなく、席にはバッグも置いてなかったので、店員はうっかり空席だと勘違いしてしまったのである。

しばらくすると、当然のことながらせっかちな女性が戻ってきた。彼女は自分の席に別の客がいるのを見て一瞬混乱した表情になったものの、すぐに何が起こったのかを把握したようで、店員に声をかけて状況を説明した後、申し訳なさそうな店員に案内されて別の席に座った。その後、席を変えた彼女にも席を奪った新しい客にも注文した通りの料理が出され、彼女と店員(と偶然目撃した僕)以外は誰もこんな些細な問題があったことを知る由もなく、ファミレスの運営は平穏無事に続いた。

後編に続く)

 

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