八方美人の僕は、幻の町の市長選に常に立候補している(後編)

前編から続く)

つまり僕は、銀河の中心が銀河系であり、銀河系の中心が太陽系であり、太陽系の中心が地球であり、地球の中心が自分であると信じて疑わず、銀河の生物すべてが僕を褒め称えるのが当たり前だと思っているので、赤の他人が自分のことをどう思っているのかが気になってしょうがないのだ。

一般の人はこうではないということを知ったのは、つい最近のことである。

数年前、ちょっとしたきっかけで、知人がステージに立って数百人の前で話をした後ろで、僕が衣装を着て踊るというピエロ役を演じたことがある。その後、僕は台詞もない裏方だったくせに、観客にいた知り合いを捕まえては「ねー、僕を見た?見た?どうだった?」と褒め言葉を催促していた。

そんな猛烈アピールにあった一人が、僕の次にステージに立った人だった。彼女が行ったプレゼンは極めて真面目かつとても参考になる内容だったので、さすがの僕も、彼女と会話をする際に彼女のプレゼンに言及しないわけにはいかなかった。

ということで、彼女が喜ぶだろうと思って「君のプレゼン、とてもよかったよ」と心にもないことをとりあえず口にしたら、意外にも「ありがとう。でも、私はとにかく注目されたくないから、忘れて」と返された。「へー、世の中には目立ちたくない人もいるんだ」と驚きながら、僕は「なら、僕がどうだったか教えて」と催促し、「すばらしかったわよ」と言ってもらえるまで食い下がった。

このように僕は、自信過剰のナルシストのくせに、人に好かれないことが恐ろしくてたまらない。

そう、僕は年中幻の町の市長選に立候補しているような人間なのだ。

 

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