悪循環に陥った株式市場には抗えない(前編)

株式市場が長期的な弱気相場に入ったようだ。英語で言ういわゆるBear Marketだ。

これに突入すると、悪循環の始まりだ。

投資家というものは、いったん下落市場に嫌気が差すと、とにかく売却することにしか関心がなくなる。会社の業績がよければ株価は5%の下落、まあまあであれば10%の下落、最悪であれば20%の下落。どんな業績でも株価は上がらず、所詮は下げ幅の違いにしかならない。

すると株式市場は雪崩のように総崩れする。レバレッジ、つまり借りた金で投資してきた投資家は、株価の下落に伴い貸し手に返済を求められ、本人の関与なしに、強制的かつ無作為に株を売却されしまう。こうして株の暴落が加速する。

この影響により多くの企業が存続の危機に晒される。企業が倒産するのは、赤字の時ではなく現金がなくなる時と決まっている。どんな赤字企業でも、現金をくれる投資家がいれば会社は存続できる。それがまさにスタートアップのベンチャー企業だ。一方で、100円を120円に増やせる黒字企業であっても、元々の100円をくれる者がいなければ会社は倒産してしまう。それが黒字倒産だ。いずれにせよ、会社の運命は資金を調達する能力にかかっている。

一旦株式市場が弱気相場に入ると、金を出してくれる投資家が市場から消えてしまう。投資家はリスクを回避しているのかもしれないし、そもそも損失が膨らんで金を出す余力がないのかもしれない。

金をくれる投資家がいなくなると、借金を多く抱えている企業ほど倒産のリスクが高まる。借金はいずれ現金で返済する必要があるが、現金を持っておらず、どこからも調達できないのであれば、倒産するしかない。そして、倒産した会社の株価は実質0円になり、それによって多くの投資家が大きな損害を被り、ますます投資家がリスクを嫌がり、資金調達ができない企業の倒産が連鎖する。

後編に続く)

 

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