僕が執着するツダくん(とワタナベくん)とのその後(後編)
(前編から続く)
そんなツダくんだが、最近一つ気になり始めたことがある。ツダくんが通っているはずの近所の大学では3年生になるとキャンパスが変わると聞いているのだが、ツダくんと僕とはコロナ前からの付き合いなので、未だに同じコンビニでバイトしているということは、彼が留年してしまっている可能性がある。ツダくん、学問の方は大丈夫か。
しかし、僕には偉そうにツダくんの心配をしてあげる余裕などなかった。というのも、最近ワタナベくんという新しいバイトが入り、どうもツダくんが先輩指導の一環として僕について「できないヤツ」と教えてる節があるのだ。でなければ、ワタナベくんの冷淡なレジ対応の説明がつかない。
コンビニの裏事情に詳しい人にこの疑惑について話したら、「間違いなく、『またエラーが来た』みたいに噂されてますよ」と言われてしまった。こうして僕は、ツダくんに加えてワタナベくんにまで「エラー」というあだ名をつけられてしまい、2人の前に姿を現すことができなくなってしまった。
このままでは最も便利なコンビニが使えなくなってしまう。その心配をある人に相談したら、素晴らしい挽回チャンスの提案をしてもらった。コンビニで住民税を納税すればいい。そうすれば、ツダくんとワタナベくんに僕がプータローではないことを知ってもらえる。
しかし、僕はこれを実行に移すことに躊躇していた。ファックスの一連で優秀であることが証明されたツダくんにとって、僕が納税者であることは当たり前かもしれない。それならまだしも、「ふん、これっぽちの納税額か」と思われてしまったら、僕はもう一生立ち直れない。
挽回チャンスに賭けるか賭けまいか。その悩みを抱えていたある日、家族からとんでもない指摘があった。このコンビニのポイントカードは、200円未満の買い物ではポイントがつかないのだそうだ。今まで39円のもやしを購入する度にポイントカードの読取機とバトルを繰り広げていた僕は、一体何だったのだろう。そして、そんな僕を眺めながらツダくんはどう思っていたのだろう。
もうこれ以上の恥はないと思っていたら、ある読者が最後のとどめを刺してくれた。
ツダくんって実は僕をまったく意識してなくて、前回と今回の投稿で3000字以上かけて語ったことはすべて僕の妄想なのではないか、と。
常に注目されていることが生き甲斐の僕にとって、これが事実だったらもう生きていけない。
・大の・・学部は4年間・・です。