しかし、この機密保持義務は、場合によっては弁護士をとてつもなく難しい立場に置く。
1970年代、米国ニューヨーク州でこんなことがあった。
ある弁護士は、女学生を殺人した容疑で逮捕された被疑者の代理人として雇われた。その弁護士は、依頼人の話を聞いているうちに、依頼人がもう二人の学生を殺していることだけでなく、死体がどこに埋められているかまで知ってしまう。
しかし、この機密保持義務は、場合によっては弁護士をとてつもなく難しい立場に置く。
1970年代、米国ニューヨーク州でこんなことがあった。
ある弁護士は、女学生を殺人した容疑で逮捕された被疑者の代理人として雇われた。その弁護士は、依頼人の話を聞いているうちに、依頼人がもう二人の学生を殺していることだけでなく、死体がどこに埋められているかまで知ってしまう。
米国では弁護士は特に反感を買う職業だが、その理由の一つとしてよく挙げられるのが、「弁護士は凶悪犯罪者でも弁護する」というものだ。
犯罪事件における弁護士の倫理観とは、実は複雑だ。
認めるのも恥ずかしいが、僕は過去に、他にも似たような最低人間と関わってきたことがある。駐車中の車に接触し傷をつけた際に、お詫びと連絡先のメモを残すよう主張した同乗者を無視して何もせずその場を去ったヤツとか、飲食店のバイト店員が大学スポーツ選手であることを知ると、「アメフトで頭をぶつけすぎたんじゃないの」とバカにした輩とか。
こんなのと一時でも関わりがあったことは一生の恥であるが、彼らに共通していたのは、自分が超エリートであると信じて疑わなかったことだ。こういったとんでもない勘違い野郎のために、僕は「運よく刀を持っている時に遭遇したら首をはねる人間リスト」を作成した。
職業に貴賎なし、という言葉があるが、明らかに人格にはある。そんな人格がない人間が、僕は許せない。
無論、世には悪人など山ほどいる。しかし、シリアルキラーのような者はそもそも批判に晒されるので構っていない。僕が特別な嫌悪を感じるのは、人間としての最低限なモラルが欠けているくせに、のうのうと社会的な高い地位に居座っている野郎どもである。
その典型的な例が、あるできそこない弁護士だ。