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八方美人といらぬ遠慮は反対に迷惑(後編)

この一連の出来事を観察しながら、僕は「自分が彼女の立場だったら、絶対にこんなすんなりには行かなかっただろう」と考えてしまった。

僕はファミレス店舗内といった狭い空間でも迷子になりかねないので、トイレから戻ってきて自分の席だと記憶しているところに他の客が座っていたら、まずはそれが自分の席だということに自信を持てず、"本当の"自分の席を探しに店の中を行ったり来たりしたであろう。

八方美人といらぬ遠慮は反対に迷惑(前編)

先日、自分の性格について改めて省みるちょっとした出来事があった。

その時の僕はファミレスにいて、既に注文を終わらせ料理が出てくるのを待っている状態だった。そこに手ぶらの女性一人が現れ、右隣の席に座った。彼女は座って早々にメニューを開き、店員が水とおしぼりを持ってくるのも待たず、スープとパスタを注文した。ちなみに、僕はちょっと前にじっくりメニューを研究した後、海鮮サラダとオニオングラタンスープ、ハンバーグとライスセットのフルコースメニューを注文したばかりだった。

八方美人の僕は、幻の町の市長選に常に立候補している(後編)

つまり僕は、銀河の中心が銀河系であり、銀河系の中心が太陽系であり、太陽系の中心が地球であり、地球の中心が自分であると信じて疑わず、銀河の生物すべてが僕を褒め称えるのが当たり前だと思っているので、赤の他人が自分のことをどう思っているのかが気になってしょうがないのだ。

八方美人の僕は、幻の町の市長選に常に立候補している(前編)

「ジョー、みんなに好かれる必要はないんだよ」と同級生に揶揄され、「お前は救世主になりたいんだな」と友人に弄られ、「世の中には相性の合わない人がいることを覚えておきましょう」と性格診断テストにアドバイスされる僕は、俗にいう八方美人である。

僕が生きている限り、唯一の願いは、終日、世界のすべての生き物に、どの人間よりも好かれることだ。

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