3時間の映画は監督の傲慢だ(後編)

前編から続く)

「スターウォーズ」とは反対に明らかに編集が失敗だったのが、「天国の門」(1980年)である。

この映画は製作費に当時の4400万ドル(現在の1.7億ドル、約255億円)もつぎ込んだものの、あまりに不評で製作会社ユナイテッド・アーティスツを経営危機に追い込んだことで有名である。近年、アート映画を好む人たちの間で映像の美しさなどからこの映画を再評価する動きがあるが、「天国の門」の問題はスクリーンに映っている映像の質ではない。

この映画は傲慢な監督の典型例なのだ。

マイケル・チミノ監督が”完成版”としてユナイテッド・アーティスツの幹部に見せた映画は325分で、これを見せる前に彼は「ちょっと長いけど、あと15分くらいなら削れる」と発言したらしい。もちろん、ユナイテッド・アーティスツとしては5時間の映画なんて公開できるはずもなく、チミノに改めて編集をさせた後に公開された”最終編集版”は219分だった。この3時間40分版がとある有名な映画評論家に酷評されると、チミノとユナイテッド・アーティスツは映画の公開を撤回するという前代未聞の決断を下し、チミノが更に149分まで短縮したものが再公開されても映画は大きくコケた。

コケた理由は、踊りのシーンだけを取り上げても一目瞭然である。まず冒頭でハーバード大学の卒業式で卒業生が4分間踊るシーンがあり、その他に、ローラーブレードを履いている田舎の街の住民が5分も踊るシーンがある。チミノはそれでも懲りずに主人公2人がワルツを3分間踊るシーンを残しており、戦争映画なのに15分も踊っているのは、どう考えてもやりすぎだ。

多くの人は長時間の映画を見るたびに「長い映画で疲れたね」という感想を述べるが、僕からのお願いとして、「3時間もかけて語る価値のある映像と話だったか?」を考えてみて欲しい。

僕の経験上、回答は十中八九「No」であり、それだけを以てもその映画は評価されるべきではないと思う。

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