お金に関する5つのアドバイス(前編)

僕はよく人からお金の相談を受ける。そんな時、僕は次の5つのアドバイスをする。

【① 正しい貯蓄をすること】

多くの人は「貯蓄」を「残ったお金を貯めること」と考えているが、これは過ちである。引退後のための貯蓄は税金、家賃、学費、生活費等と同じく必要な出費とみなす必要がある。急に入院しても家賃を削って入院費用を捻出するわけにはいかないのと同じように、想定外の入院費は貯蓄を切り崩して捻出すべきではない。緊急時のために現金を蓄えておくことも重要だが、それは「貯蓄」とは切り離して考えるべきだ。

きちんと貯蓄していくためには、貯蓄専用の銀行口座を作ることが強く推奨される。理由は、「貯蓄」は別の用途のお金と混同してはならず、区別して管理する必要があるからだ。

さらに、毎月給料が振り込まれたら、例外なく、予め決めた貯蓄額を貯蓄専用の口座に振り込むのが正しい貯蓄の仕方である。「貯蓄」はその性質上引退後まで手をつけてはならず、これを厳守するためにも貯蓄専用の口座があるとよい。

毎月の貯蓄額をいくらにすべきかについては様々な考えがある。一般的には手取りの10%〜20%、税込み年収の8%~15%と言われているが、理想は手取りの20%~30%、税込み年収の15%~25%だろう。

僕は社会人2年目からずっと「税込み年収の25%」の貯蓄を維持している。これをすると実はほとんど現金が残らないが、しっかり貯蓄して残ったお金こそ「自由に使っていいお金」となる。

【② 複利の仕組みを知ること】

毎月ちゃんと貯蓄をしていけば貯金が溜まっていき、そこで初めて運用のことを考えられる。適切な貯蓄をしてないのに投資の心配するのはあべこべである。

運用が重要なのは、自分の稼ぎ力とは関係なくお金が増えていくからだ。そして、運用において重要なのが「複利」の概念である。

複利とは、利子にまた利子がつくことを意味する。たとえば、100万円に毎年10%の利子がつくと、1年目は10万円増えて110万円になり、2年目は11万円増えて121万円になり、3年目は12.1万円増えて133.1万円になる。複利のおかげで、毎年増加額自体が増えていく。

複利の影響を測るには、「72の法則」と呼ばれる計算式が便利だ。これは複利で運用したお金が2倍になるまでの期間を算出する式で、「72➗利回り(%)= お金が2倍になる期間」となる。

「72の法則」を知っていると、日本の銀行にお金を預けることがどれほど馬鹿らしいかがよく分かる。アメリカの株価指数であるダウ平均は2021年に125周年を迎えたが、その期間、ダウは毎年平均8%弱(7.96%)上昇している。これはつまり、ダウ平均に投資すれば72➗8=9年ごとにお金が2倍になっていくことを意味し、金利が0.1%の日本の銀行に預けていると2倍になるのに720年もかかるのとは雲泥の差がある。

複利の魔法は、複利が複利を生むことだ。利回り8%で運用し続けると9年ごとに2倍になるので、36年の間には2倍の2倍の2倍の2倍、つまり16倍に増える。新卒として24歳から働き始めると、定年あたりの60歳がちょうど36年後。なるべく早くから運用を始めるのがよいのは、複利の影響を最大限に活かすためである。

上述したとおり「投資の前に貯蓄」の鉄則を忘れてはならないし、証券市場は頻繁に暴落するので1年以内に必要なお金は投資に回してはならないが、長期的には、貯金が溜まり始めたら複利を活かして運用することが欠かせない。

僕は基本、「72の法則」を踏まえた複利の恩恵を受けるため、ゼロ金利の日本の円ではなく米ドルで資産運用している。

中編に続く)

 
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