「¥マネーの虎」よりずっとレベルが高い海外版は見逃せない(前編)

2000年代に深夜テレビ番組「¥マネーの虎」として脚光を浴び、2018年から「令和の虎」としてYouTubeで復活している番組が、海外では「Dragon’s Den」(イギリス)や「Shark Tank」(アメリカ)として爆発的にヒットしていることをご存知だろうか。

日本でも海外でも、番組の設定は一般人の起業家が複数の実業家に対し事業計画をプレゼンして希望する資金を自腹で出してもらう、という内容である。しかし、日本版と海外版ではだいぶ洗練度に差がある。

そもそも、日本の「¥マネーの虎」は民放の深夜番組から脱出できず3年で打ち切られたのに対し、イギリスの「Dragon’s Den」はNHKに相当するBBCで20年以上も報道されてることがその差を語っているといえる。だが、内容的にも、どうも海外版の方がレベルが高いように見えてしまう。

たとえば、「¥マネーの虎」に登場する実業家。彼らは「〜会社社長、年商〜億円」と紹介されるが、これを初めて見たとき、僕は「年商」という言葉に違和感を感じた。「年商」とは売上、つまり実業家個人ではなく会社の話である。そのことに気付いたとき、「しょぼいな」と思ってしまった。数十億円の年商であればイギリスの「Dragon’s Den」に出ている実業家の個人的な資産額と対して変わらないはずであり、会社の売上と個人の資産が同額ではあまりに次元が違いすぎる。

本質的な面でも、「¥マネーの虎」と海外版では根本的に違うところが一つある。いずれの番組の設定も「実業家が起業家に対して出資する」であるはずなのに、「¥マネーの虎」では出資比率、つまり資金の対価として起業家の会社の株式の何%がもらえるのか、という話が一切出てこないのだ。

出資を募る話に出資比率が議論されなくては、根本的な話が欠けている。起業家にとって、資金300万円に対して株式25%を渡すのと50%を渡すのでは、自分の会社に対する企業評価価値が1200万円と600万円とで大きく異なる。実際、海外版では必ず企業価値がいくらで何%の株を渡すのかが激しく交渉されており、この場面が「¥マネーの虎」にはないのはおかしい。

(後編に続く)

 
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