低い投票率も金も無能な政治家も、「政治」にはつきもの(後編)
(前編から続く)
僕は政治と政策は切り離して考えるべきものだと思っている。日本は「多種多様な1億人」から構成されており、「政策」もその人数分だけ存在する。たった700人の国会議員だけを考えても、それぞれが自分の政策に拘泥したら、国会はカオス状態に陥ってしまう。政策に無頓着な人がいて、そういう人が政策に拘りがある人たちをまとめ上げているからこそ、国が麻痺しないで運営されていけるのだ。
僕は政治家の無能さが報道されている程度のものなら、大したことはないと思っている。日本の政治は「一般の人が関与している」民主主義なのだ。政治家は王様でも貴族でも天から降ってきた神様でもないからこそ、「政治家は選挙に落ちればただの人」という表現がある。自分の周囲にいる同僚や身内のことを考えてみてもらいたい。10人に1人くらいは「無能」に該当するのではないだろうか。日本にいる700人の国会議員のうち100人が無能だったとしても、それはたったの14%。特に高いとは言えない水準である。
何より、僕は国民自身が政治というものを誤解していると思っている。一般の人に政治に何を求めるかと聞いても、「安定性」と回答する人は少ないだろう。多くの人は「理念」や「清潔性」と答えるかもしれない。でも、本当にこの二つが重要なら、結党以来ぶれない理念を追求し身内の不祥事にも厳しい共産党にもっと票が入っているはずなのだ。自覚はないかもしれないが、大抵の国民は、実は何より毎日時間通りに電車が駅に着くことを求めている。
よって僕は、政治で最も重要なことは「安定的な統治」だと思っている。
そして僕は、日常生活が政治どころではない1億人を安定的に治めることは至難の技だと思っている。
だから僕は、そんな難中之難に取り組んでいる政治家達を「あいつらは全員ダメだ」と一括バッサリ切り捨てられない。