二階俊博を評価できなくては、政治は理解できない(後編)

前編から続く)

二階は、自民党に復党した直後、旧保守新党のメンバーより構成する派閥「二階グループ」を立ち上げて会長を務めている。その後、自民党の総務局長(今の選挙対策委員長に相当し、党の選挙の責任者)に任命されると、2005年の郵政解散で自民党を圧勝に導き、子分を増やした。

ところが、2009年の選挙で自民党が惨敗すると「二階グループ」は壊滅状態に陥り、残った3名は仕方なく二階と同期(1983年の総選挙で初当選)である伊吹文明が会長を務める伊吹派に合流する。そして、2012年に伊吹が衆議院議長に任命されると、なんと二階が後任の会長の座に就いてしまう。

こうして二階は、自分が築いた新興派閥を消滅させちゃったくせに、たった3年で1968年からの歴史を誇る由緒正しい派閥を乗っ取ったのだ。

その後、2016年に幹事長に任命されてからの彼の手腕はお見事としか言いようがない。2017年に安倍晋三の総裁連続3選を可能にし安倍に恩を着せ、2020年にいち早く菅義偉への支持を表明し菅政権誕生の最大の功績者としての地位を確実にしている。さらに、その間、同じ選挙区に自民党所属議員がいることお構いなしに、対抗馬の野党議員を「特別会員」として二階派に入会させては自派の勢力拡大に邁進している。

二階俊博はまさに、「勝ち馬に乗る」、「政局は起こしたものが勝ち」、「政治は数」といった政局のイロハを生きている人物である。

そんな二階を、一般の人は節操がないと言う。

しかし、節操がないからこそ、権力が維持できる。野党がいつまでたっても政権奪取できないのは、二階みたいな実力者を軽視軽蔑し、与党を罵り政策を訴え続ければ政権が取れるとおめでたく信じているからである。

本当の意味で政治を理解したいのであれば、まずは二階俊博を評価すべきだ。

 

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