2021年9月 13日
二階俊博を評価できなくては、政治は理解できない(前編)
僕は自称「政局マニア」である。「政治」マニアではない。「政局」マニアだ。
そんな僕が政治において何より評価するのが、政治権力の獲得維持能力。僕にとって、政治家の政策や政治思想なんてモノは二の次にすぎない。
そういう意味では、この5年間、自民党を牛耳ってきた二階俊博幹事長は尊崇に値する。
70年近い歴史がある自民党で、幹事長の最長在任記録を更新し続けていること自体、相当な功績である。自民党は単なる古い政党ではない。田中角栄や金丸信、竹下登や小沢一郎といった、権力を維持することに長けていた者が築いてきた政党であり、彼らの記録を塗り替える二階は只者ではない。
しかも、二階の凄いのは、通常だったら到底、自民党内でこんなに権力を振れるような経歴の持ち主ではないところだ。
ほとんどの人が忘れているようだが、二階は、1993年に自民党が下野した際に党を離れた「離党組」である。近年、自民党総裁選に出馬しては惨敗を屈している石破茂がいつまでたっても総裁になれない理由として彼の「離党組」としての経歴が度々挙げられるが、石破は実は1997年に早々と復党している。
他方で、二階が自民党に復党したのは、当時所属していた保守新党が自民党に吸収された2003年。6年のヘッドスタートがあったにもかかわらず石破が総裁選泡沫候補の存在を超えないのは、彼が「一番党がつらい時に逃げ出したから」ではなく、単に彼に政治のセンスがないからである。
石破が本気で総裁になりたいのであれば、少しは二階を見習ったほうがいい。
(後編に続く)