投票率なんかより肝心なことがある(前編)
昨日、都知事選が開票された。
投票率は55%。いつものことながら、「投票率の低さに驚いた」などとコメントしている人がいる。
しかし、僕に言わせてみれば、投票率が低いなんて当たり前だ。
投票という行為がどういうものなのか、冷静に考えてもらいたい。
日曜日という休日に、投票所という場所にわざわざ足を運び、列に並んで待たされた挙句、赤の他人の名前を書くのである。
さらには、「あなたの一票が政治を変える」といったきれいごとがよく謳われるが、都内の有権者数は11,290,229人。「あなたの一票」にはたった0.000009%の影響力しかなく、論理的に考えれば、一票が都政の行方を変えることなどあり得ない。
僕が大学時代に聞いた政治学教授の「支持者が最も多い政党は『都合つかず党』だ」というセリフは、まさに的を得ている。
普通の人は、余裕があれば日曜日に予定を入れているだろうし、余裕がなければ働いている。忙しい毎日があっては、投票どころではない。
こんな風に、投票率に対してひねくれた考えを持っている僕だが、実は自分自身、選挙がある度にどこかの陣営に助っ人ボランティアとして入っている。投票よりはるかに時間労力対効果が悪い行動に出ているのだ。
その理由は、選挙を「投票」という行為を超えて体験することが重要だと考えているからである。
選挙で投票することが民主主義の基本、みたいなことがよく言われるが、投票なんて北朝鮮でも行なっている。「投票すること」が民主主義国家において国民が果たすべき責任、と考えるのは、大きな間違いだ。
米国の4年おきの大統領選の盛り上がりを見て、これぞ民主主義の姿と思う人も多いだろうが、米国大統領選の投票率は50%台で、中間選挙の投票率は40%前後。日本の総選挙と参院選の投票率を鑑みると、日本における投票率の方が高いとさえ言える。
(後編に続く)