やりがいがあることをやり抜くのは大変なことを悟った2019年
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以下は今年のクリスマスカードに同封した手紙です。
本年も残すところわずかばかりとなりましたが、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
さて、今年は少しばかり将棋のお話をさせていただければと思います。毎年してるじゃん、と思われるかもしれませんが、今年はいつもご報告している「またまた昇級未達成」とはどういうことなのかについて説明しますので、お付き合いいただければ幸いです。
東京の千駄ヶ谷という所に、将棋会館と呼ばれる建物があります。その2階に大層マニアックな将棋道場という場所があり、そこに行けばいつでも誰でも、棋力を認定してもらったり、棋力の近い人と対局させてもらえます。
私の現在の棋力は6級。その上に5級、4級…と1級まであり、そこから初段、2段、3段…と続きます。「段」がつくといわゆる有段者になり、そんな人は今の私からすると神様のように拝みたくなる存在です。
将棋の才能もセンスもない私ですが、それでも死ぬまでには初段になる、という無謀な目標を私は掲げております。
昇級するために必要なのは、基本的に、道場での対局に勝ち続けること。今の6級から目標の初段まで、昇級あと6回。人生200年としても、そろそろ5級に昇級しないと初段は厳しいなあ、と危機感を持ち、今年は将棋に相当の時間と労力を投入しました。その結果は…まあ、ご想像がつくとおりです。
しかし、ここまできてやっと5級への手応えが実感できるようになりました。そのためか、今年を振り返って思い出すのは、「ローマは一日にして成らず」ということわざです。
この言葉は、本年の実績についても感じたことでした。
今年の1月から1学期だけ、私はテンプル大学ロースクールの東京キャンパスで米国憲法を教えました。初めて教鞭を執ったことへの感想は、「大変だった」の一言に尽きます。シラバスや教材の作成、講義の準備、そして採点に割いた時間は将棋に費やした時間さえも超えますが、その分、さっぱり米国憲法に興味がなかった生徒たちがちょっとでも米国憲法に興味を持ってくれるようになったことへの満足感が、今でも余韻として残っています。
結局は、将棋であろうが教師であろうが、やりがいがあることをやり抜くのはとてつもなく大変。2019年は、そんなことを悟った年になりました。
2020年は5級への昇級に留まらず、ローマ成立規模の実績を残したいものです。
それでは皆さま、どうぞ良い新年をお迎えください。