では、旅費に加えて賠償金まで負担する番組側にどんなうまみがあるのかというと、もちろん視聴率である。
リアリティ法廷番組は平日の昼間に主婦向けに報道される。「ジャッジ ジュディ」は多くある番組の中でも最も人気が高く、毎日1000万人もの視聴者がいる。安定したターゲット層が毎日1000万人も見ていれば、相当なCM広告費が期待できるだろう。
では、旅費に加えて賠償金まで負担する番組側にどんなうまみがあるのかというと、もちろん視聴率である。
リアリティ法廷番組は平日の昼間に主婦向けに報道される。「ジャッジ ジュディ」は多くある番組の中でも最も人気が高く、毎日1000万人もの視聴者がいる。安定したターゲット層が毎日1000万人も見ていれば、相当なCM広告費が期待できるだろう。
アメリカで最も裕福な女性を調べると、必ずジュディ・シャインドリン(Judy Sheindlin)という名前が出てくる。5億ドル弱(約700億円)もの資産を持っている彼女は、驚くことに、その財産を裁判官として築き上げた。
もちろん、裁判所で民事訴訟や刑事事件を裁く裁判官としてではない。「ジュディ・シャインドリン("Judge Judy")」と呼ばれるアメリカの超人気リアリティ法廷番組の主宰としてである。
このリアリティ法廷番組ほど、アメリカの訴訟社会を象徴している番組はないだろう。
小室圭がいるような法律事務所に在籍していたことがある僕は、給与と金銭感覚の面で随分と波乱万丈な道を歩んできている。
実は僕は、キャリアを公務員として始めた。いずれは企業法務に携わるつもりでロースクール時代に法律事務所から内定を貰っていたのだが、少しは「人のために尽くす」という弁護士の本来の姿を経験した方が自分のためになるだろうと思い、1年間だけ、ニュージャージー州で裁判官の助手であるロークラーク(law clerk)という仕事に就いていた。
当時の僕は、僕も相手の弁護士もレイオフの対象に含まれなかったことは運が良かったからだと思っていたのだが、今なら分かる。あれは運でも何でもなかったのである。彼も僕も新米弁護士だからこそ生き延びれたのだ。
理由は簡単だ。新米の給料は安いからである。
アメリカのIT企業によるレイオフ、いわゆる大量解雇が日本でも物議を醸しているが、景気が後退するといずれは大手法律事務所も煽りを受けるのがアメリカである。特に金融に依拠しているM&Aなどの分野が強い法律事務所は、景気の動向に左右されやすい。(余談となるが、会社更生や訴訟といった分野は、反対に景気悪化に強い)
そうなると気になるのが、コーポレート関係の仕事がしたいと言って小室圭が就職した法律事務所ローウェンスタイン・サンドラー(Lowenstein Sandler)が、16人解雇したという報道である。対象となったのはスタッフであるが、いずれは弁護士にも広がる兆しを感じさせる驚きのニュースである。