スポーツと金と政治が混じった、とある米国州立大学での出来事(後編)

前編から続く)

2021年に雇われたケリーは総額9500万ドル(約150億円)の10年契約を結んでおり、4年目の途中で解任されたことで、5400万ドル(約80億円)の違約金を支払う義務がLSUに発生した。

LSUは州立大学である。当然、もう監督ではない人物に、州の予算からそのような大金を支払うわけにはいかない。では違約金の原資はどこから出てくるのかというと、LSUスポーツを応援している億万長者の卒業生である。サポーターとしては、母校のアメフトプログラムが惨憺たる状態だと、自腹を切ってでも監督の解任を支持するのだ。

とはいえ、5400万ドルの違約金は史上2番目の規模だったため、さすがに問題視された。そこで注目されたのが、LSUスポーツプログラムのアスレチック・ディレクター(最高責任者)としてケリーとの契約を交渉したスコット・ウッドワードである。ウッドワードは、以前テキサスA&M大学のアスレチック・ディレクターを務めていたことがあり、その時に彼が交渉した契約が、史上最大である7680万ドル(約120億円)の違約金を発生させていたのだった。

ウッドワードについても、口火を切ったのはランドリー知事である。通常ならケリーの後任はアスレチック・ディレクターが起用するのだが、ケリーが解任された3日後、ランドリーは記者会見でウッドワードがLSUの次期アメフト監督を起用することはないと明言。するとその翌日、ウッドワードはLSUに解任された。

これだけでも常軌を逸しているが、この話で最も滑稽なのは、ケリーの後任として雇われたレーン・キフィン監督の契約内容だ。年間1300万ドル(約20億円)の7年契約で、解任された場合の違約金は残債の8割。つまり、キフィンがケリーと同じタイミングで解任されると、3000万ドル(約45億円)がキフィンに支払われるのだ。

ケリー解任に伴う違約金が問題視された割には、後任キフィンの契約も十分非常識である。

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