弁護士で溢れかえってる米国では、スポーツ業界にまで弁護士が浸透している(後編)

前編から続く)

他方、日本の感覚だとなかなか理解しにくいのが、スポーツ業界にいる弁護士資格保有者だろう。

米国では、スポーツ選手の代理人、すなわちスポーツエージェントが弁護士であることが多い。これは一見意外に思えるかもしれないが、代理人の重要な役割は球団との交渉であり、契約周りを法律の専門家が担うのは極めて自然なことである。

選手側の代理人が弁護士であれば、相手方となる球団側にも弁護士がいるのは納得がいく。球団のトップはGM(ゼネラルマネージャー)だが、米国には弁護士資格を保有しているGMが4大スポーツ(アメフト、バスケ、野球、アイスホッケー)のどれにもいる。

その中で最も有名なのは、メジャーリーグのボストン・レッドソックスシカゴ・カブスをそれぞれ100年ぶりの優勝に導いたセオ・エプスタイン(Theo Epstein)だろう。彼はサンディエゴ・パドレスのスタッフだった時、当時の上司に契約交渉の際に役に立つからと勧められ、弁護士として働くつもりがないのに、わざわざ夜間ロースクールに通ってまでして弁護士資格を取得した。

球団としては、弁護士資格保有者がいると契約交渉だけでなくサラリーキャップや贅沢税の管理においても活躍してもらえるらしい。したがって、米国のGMの大半が弁護士であっても決して不思議ではないのだが、GMは元選手だったり球団スタッフからのたたき上げが多いせいか、GMが弁護士であるケースは思いの外少ない。

他方、プロスポーツの統括組織のトップであるコミッショナーは、米国4大スポーツのうちアメフト以外において全員が弁護士である。コミッショナーといえば日本では実業家や経営者のイメージがあるが、プロスポーツの運営には労働法、著作権法、独禁法、不祥事対応といったありとあらゆる法律が関係してくるし、何より論理的に考えて課題対処する知見と習慣が活かせるので、コミッショナーは実は弁護士に向いている職なのである。

このように米国では、スポーツの世界にも弁護士が浸透しているのだ。

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