デカくて、すごくて、優越感たっぷりのA380の旅(後編)

前編から続く)

ちなみに、飛行機好きは変なところに注目してしまう。

たとえば、安全のしおり。こちらで解説したとおり、どの飛行機も90秒以内に片側の出口から全員が脱出できるように設計されている。2階建てのA380はどういう設計になっているのだろうと思い安全のしおりに目を通したら、もちろん直接2階から地面に滑り降りられるようになっている。

だが、よく見ると、1階には出口が10個ある一方で2階には6つしかない。2階はプレエコクラス以上なので、エコノミークラスのみの1階より出口がずっと少なくて済むというわけだ。

もう1つ注目したのが、離陸にかかる時間だ。

A380は離陸するまでの時間が長いと前から聞いていたのだが、これは機体が重いからではないということは同僚が教えてくれた。

飛行機は離陸する際、1つのエンジンが故障しても離陸できるだけの出力をだす。エンジンが2つしかないと必然的に残り1つのエンジンから飛行機を離陸させられる力を出す必要があるが、エンジンが4つあると残り3つのエンジンで離陸できればいいので、1つのエンジンの出力はそこまで強くなくいい。結果、エンジンを4つ載せてる飛行機はより弱い出力で離陸するため、離陸にかかる時間が伸びるのだそうだ。

この知識を以ってA380が離陸にかかる時間を測ってみると、概ね1分。2つのエンジンの飛行機は約30秒で離陸するので、A380はやはり長い。

このように、どうでもいいことを含め行きの旅だけでも存分楽しんだA380だが、復路には往路とはまったく別の楽しみがあるのがA380なのである。何しろ、ANAはホノルルの空港にA380専用のラウンジを作っているのだ。

このラウンジはすべてが素晴らしかった。広々とした部屋、ハワイらしいカクテル、他では食べられない食事。

A380が真下に見えるので、ラウンジから撮れるデカくて素晴らしいA380の写真も格別である。

だが、何より素晴らしかったのは、またしても「2階にいる優越感」だ。

ハワイ発の便だと、ビジネスクラス搭乗用の列がラウンジ内にあり、2階にあるラウンジから直接飛行機の2階に乗れるようになっている。

そして、ステータスだけでラウンジにいるエコノミークラスの客にはこういった案内があり、ここでまた優越感を感じられる。

ちなみに、ハワイのANAのA380専用ラウンジはべらぼうに遠いところにある。チェックインカウンターからゲートに向かう途中、アメリカ国内便のゲートを通り過ぎるので、本当に正しい方向に向かっているのか不安になってしまうほどだ。こうなったのは、立派なラウンジを作れるほどの場所が国際便エリアに残っていなかったからだと推測され、ANAにとってA380の投入が相当な意気込みのプロジェクトであることを感じさせる。

こうしてラウンジでは復路と往路で異なる経験をできたわけだが、僕の飛行機に乗った時のはしゃぎようは復路でも変わらなかった。まるで子供のように落ち着きがなくキョロキョロしてる僕を見て、乗務員はニコニコしながら「A380に乗られた記念にどうぞ」とこのようなものをくれた。

お子様グッズである。めちゃ嬉しい。

そして数時間後に東京成田空港に着陸すると、夢のA380の旅も終わってしまい、心に大きな穴が空いてしまった。

だが、最近になって、1つの夢が叶ったならまた別の夢を探せばいいのだと気づいた。

シンガポール航空のニューヨーク〜シンガポール便は飛行時間が19時間。最大規模の飛行機を克服した次は最長(に近い)距離の便を克服することが新たな夢になると思い立ち、次回ニューヨークに行く暁には、シンガポール経由で帰国しようと思っている。

さて、読者からすると、ハワイ旅行の話のはずなのに飛行機のことばかりで、それも小学生のように「でかい」とか「すげー」しか感想がなく、さらには人間として最低の優越感に浸しんでる嫌味しか書かれてないので、この投稿は一体なんなのかと思うかもしれない。

そういう読者向けにハワイ自体の感想も書いたので、次回をお楽しみに。

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