“裁判官”として700億円も稼げる「リアリティ法廷番組」は、アメリカの訴訟社会を象徴している(後編)

前編から続く)

では、旅費に加えて賠償金まで負担する番組側にどんなうまみがあるのかというと、もちろん視聴率である。

リアリティ法廷番組は平日の昼間に主婦向けに報道される。「ジャッジ ジュディ」は多くある番組の中でも最も人気が高く、毎日1000万人もの視聴者がいる。安定したターゲット層が毎日1000万人も見ていれば、相当なCM広告費が期待できるだろう。

番組の成功は、仲裁人が視聴者が見たくなるようなキャラか、にかかっている。法律が分かっていれば仲裁人は誰でも務まるので、もともと弁護士か検事か裁判官をやっていた人であれば仲裁人になり得るのだが、法律が分かっていることとテレビ受けをすることはまったくの別問題である。

よって、大半のリアリティ法廷番組は1〜2年で消えていってしまう。そんな世界で、シャインドリンは「ジャッジ ジュディ」の主宰を25年以上も務めた。そこまで続けば報酬が上がるのも当然であり、ある年の収入は4700万ドル(約67億円)だったらしい。それも、1年間に50日収録(仕事)するだけで。

信じられない報酬額だが、「ジャッジ ジュディ」を見ればその魅力がよく分かる。シャインドリンの歯に衣着せぬ言動、そして非常識な原告や被告に対して「お前はアホだ(”you’re an idiot”)」と容赦なく言い放つ姿は、一般の視聴者を代弁しており、爽快感があって愉快だ。

YouTubeに「ジャッジ ジュディ」のチャンネルがあるので、ぜひ過去の動画を見ることをお勧めする。

ただし、警告しておきたい。一旦見はじめると、やめられなくなる。

やはり、700億円もの価値があるキャラには、逆らえない魔力があるのだ。

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