趣旨を誤解した人に誘われた「ナイトプール」(後編)

前編から続く)

都内でビーチ気分になれるのは以外と楽しいではないかとの思いに浸しんでいると、いつの間にかプールが若いカップルで溢れ返っている。

そして、7時近くなった頃に、やっと企画した本人が姿を現わす。

雰囲気は、泳ぐ気満々である。そう言えばこの人、高校時代は水泳部だったなと思い出し、まさか本気に泳ぐ気でこのイベントを企画したのではなかろうかと疑い始めたら、案の定、「すごい人。これじゃあ泳げない」と愚痴り始めた。

実はこの企画、提案された時から何かがおかしいとは思っていたのだ。日曜日に終日働くような人が、都内のビーチバカンスを提案するはずがない。結局のところ、水泳くらいしか趣味がないこの人にとって、「ナイトプール」=「夜に外で泳げる場所」くらいの発想しかなかったのだ。

例の品川プリンスの案内からどうやったらナイトプールをそう解釈できるのか僕には理解不能であったが、本人は何が何でも泳ぎたい様子だったので、暗くなって読書が難しくなった僕も付き合うことにした。

しかし、ビーチボールや浮き輪であふれているプールに、もはや泳ぐ隙間はなく、反対側まで行くには平泳ぎで潜るしかなかった。

クロールも背泳ぎもバタフライもできない”潜り”を数往復やったら友人は飽きてしまったようで、7時半過ぎには「そろそろご飯に行こう」と言う話になり、僕らは引き上げた。

そして、帰りがけに東京タワーとホテルとプールの夜景写真を撮りながら思ったのだ。

次は「ナイトプール」の趣旨を正しく理解してる人と来たいな、と。

 
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