2022年1月 3日
「腕時計通貨」という、僕のややっこしい日常通貨(前編)
僕は50,000,000,000ジンバブエ・ドル札を持っている。
この紙幣の価値は、ハイパーインフレーションのせいで1銭未満。こんなに桁がある通貨でモノの価値を測っていたらエライことになりそうだが、僕は実は日常生活で「腕時計通貨」という僕特有の通貨を使ってモノの価値を判断しており、これはこれで十分ややっこしい。
まず、腕時計通貨を使っていると、金銭感覚がだいぶずれるのだ。
たとえば、ちょっと贅沢した夕食をしたとしよう。勘定が1万円弱だと、僕の頭の中ではスウォッチ1本分として換算される。
では、車だったらどうなるのか。今欲しい車はランドローバーの「ディスカバリー スポーツ」だが、この車は新車だと500万くらいして、これは腕時計通貨で言うと概ねグランド・ランゲ1本分だ。
夕食と自動車ではだいぶ違う買い物のように見えるが、僕からするといずれも時計1本分で、同じ次元の買い物となる。
もっとも、腕時計の世界では「次元」がとてつもなく広い。
たとえば、ミニッツ・リピーターとパーペチュアル・カレンダーと呼ばれる機能が付いてるパテック・フィリップ。この腕時計には、円通貨だと数千万円は下回らない価値がある。この円価格だとそこそこのアパートが購入できてしまうので、時計の本数を通貨単位として考えてしまうと、夕食も自動車もアパートも同じ価値の買い物になってしまう。
(後編に続く)