2021年2月 1日
男はバカ(前編)
男はバカ。その何よりものいい例は、僕自身だ。
マンボウになりたいとか、フリーターに憧れるとか、とにかく僕は終日ましなことを考えていない。あまりのバカさに見かねた妹は、僕を「こんな弟で申し訳ありません」と紹介するようになり、いつしか兄弟関係が逆転してしまった。もっとも僕はバカでいる方が楽なので、これは一向に構わないのだが。
僕のバカさは格別だが、一般論としても、男子はバカだと思う。
これは小学生男子と将棋を指すたびに感じる。
千駄ヶ谷にある将棋道場に通っている僕は、当初、小学生男子と将棋を指すのがなんとも苦手であった。素早く、なんの迷いもなしに、堂々と各手を指されては、その雰囲気に怖気付いていた。
しかし、ある時ハッと気付いたのだ。この子らはもしかして、どしんと構えているわけではなく、単に何も考えずにフィーリングで指しているだけではないのか、と。
そう考えて改めて男子達を観察してみると、なるほど、あまり賢くなさそうな立ち振る舞いが目立つ。
友達が寄ってきてはペチャクチャ。一人でいるときはキョロキョロ。僕との将棋などそっちのけである。
さらに、「ねー、指した?まだ?まだー?」と催促する割には、僕が指した手にまったく関心を示さず、手番が回ってきた瞬間、自分の玉が頓死しているのにも気づかずに、次の手を指したりする。男子相手だとこういう「ラッキー」勝利がいつでも起こり得るので、僕は小学生男子相手には、いくら劣勢でも最後まで粘る。
(後編に続く)