ナルシストの僕は、食事会では迷惑な存在(後編)

前編から続く)

このためか、僕はしょっちゅう会食で墓穴を掘る。

例えば、最近来日したあるエラーイ人を接待した時。最初に店に着いた僕はさっさと真ん中の席に陣取ったのだが、後に現れた人誰一人として、僕の隣や前に座ろうとしなかった。

やがて主賓本人が現れ、僕の目の前の席に座った。そしてその時になってやっと「そうだ、真ん中の席は偉い人の近くになるんだった」というデメリットを思い出し、それから15分ほどはお行儀よくしていた。しかし、一旦食事が始まると、いつものことながら、口は食べることと喋ることに専念し、考察能力は停止した。そして起こるべき爆弾発言が出て、それに反応した主賓のすごい形相を目に、「あー、またやっちまったー」と後悔する羽目になった。

こういう気まずい場面があると食事がまずくなるので、僕にとっての理想な会食とは、そもそも偉い人がいない会食か、偉い人が座らないテーブルがある会食である。

さらに欲を出すと、女性が多いことが喜ばしい。

これは別に男女差別をしているわけではない。一般論として、女性は食欲が少なく、「褒め言葉のさしすせそ」を極めているのだ。僕が言うことすべてに「さすがー」とか「すごいー」とか感激してくれて、いくらでも食べさせてもらえるなんて、それこそ大食ナルシストの天国だ。

そして、偉い人がいなくて女性が多い食事会といえば、もちろん合コンだ。

一時昔、僕は合コンに頻繁に招待されていたのだが、最近はめっきり声をかけてもらえなくなってしまった。その理由を幹事の一人に問い詰めてみたら、彼曰く、合コンというのは男性と女性をマッチングさせる場であり、僕の「会話を独占する」という行為は他の男性に迷惑で、「他人に無関心」という性格は女性に失礼なのだそうだ。

なるほど、そう言われてみればそうだ。確かに、僕が食事会の幹事を務めていたら、自分のような奴は絶対に呼ばない。

それでもなお、ぜひ、僕を会食に招待してもらいたいと切実に思う。

というのも、僕には一つだけ、食事会で評価される取り柄があるのだ。

僕は高校生並みの食欲なので、残り物はせっせと処理させていただける。

 

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