僕がまだニュージャージーに住んでいたある日、母に急に呼び出されて尋問にあった。

「ジョー、ギャンブルで数百万損したんだって?」

寝耳に水とはまさにこういうことを言う。

即に否定したところ、母は今度はもう少し優しい口調で、「何かあったのならちゃんと相談しなさい」と念を押してきたのだが、身に覚えがないことについては相談しようがないので、「何の話だか分からない」と答えたところ、一応納得してもらえ、経緯を説明してくれた。

事の発端はそのすぐ前に母が祖父から受けた電話であった。その時に祖父がした話はこうだ。

先程ジョー君から電話があり、「博打で損しちゃったので三百万円振り込んで欲しい」と言われたんだけど、ちゃんとママに相談しなさいと伝えて電話を切った。心配だったので、その後直ぐに連絡を入れた。

要は、祖父はオレオレ詐欺にあったわけである。