最近の僕は高級チーズにハマってる(後編)

前編から続く)

それ以降、僕は最高級のチーズを買うようになったのだが、数ヶ月経つと、このチーズも物足りなくなってしまった。庶民スーパーの最高級チーズの味を占めて、貴族の世界の人がどのようなチーズを食べているのか知りたくなってしまったのだ。

僕が知ってる貴族の世界とは、豆腐が1丁300円するお店。ということで僕は成城石井に行くことにしたのだが、そこのチーズ売り場を見てたまげた。

近所のスーパーで買ってる「ピン」のチーズが、成城石井では「キリ」扱いされているのだ。さらに、どのチーズも1000円を超えており、中には4990円もするのがある。そして、品揃えが半端ない。

これを見て僕は悩んだ。チーズに4990円みたいなバカげた金を使いたくはないが、4000円のチーズの味は知りたい。

もっとも、どれか買うにしても、ずらっと並んでるチーズのうちどれがどうおいしいのかなんてさっぱり分からない。そもそも、僕はこんな高いチーズを食べるような身分ではないのだ。

さてどうしたものかと決めかねていると、なんと、30%引きのラベルが貼られている1500円のチーズがあるではないか。きっと賞味期限が近かったのだろう。

そこで僕は即決した。チーズはそもそも腐ってる牛乳。そんな食品の賞味期限なんてあってないようなものなので、30%引きで1000円ちょっとになるなら、買ってしまった方が特だ。

こうして手に入れた1500円相当のチーズ。それまで買ってたチーズの2倍近い値段の品物だったがおいしさは3〜4倍で、食べ始めると止まらなかった。

やはりチーズの味と値段は指数関数的関係にあるのだということを確認すると、当然ながら、僕はさらに高いチーズを食べてみたくなった。

ということで、僕は最近、もっぱら帰宅途中に駅前の成城石井のチーズ売り場に寄っては、20%以上割引きしてるチーズを探している。どうせチーズの種類なんて分からないので、「安くなってる」を基準に買うことにしたのだ。

ぼったくりの成城石井には絶対に入るまいと誓っていた僕にとってこの行為ほど不本意なものはない。その事実に悩んでいたら、ある読者が前編のコメント欄でとても嬉しい情報を提供してくださった。

成城石井はすべて値段が高いけど、チーズだけは他のスーパーに比べて割安なのだそうだ。

実際そうなら、チーズ売り場にしか行かない僕は、「”ぼったくり”の成城石井には行かない」というポリシーを今でもしっかり守れていることになる。

 
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