僕は金の亡者(後編)

前編から続く)

さらには僕は、過去、現在、そして将来の収入と出費についても気にかけている。

収入については、社会人になってから今まで毎年いくらの所得があったか概ね覚えており、将来の収入についても関心が高いので、夏と年末は大口宝くじを必ず購入している。

出費については、家計簿をつけているので月の単位で出せる。コロナ禍で会食を避け趣味も追求できなくなりノイローゼ気味になったが、その反面、月々の出費を30%〜40%削減できたことはなんとも喜ばしいことだ。

ここまで金に拘泥していれば億万長者になっていても決して不思議ではないのだが、あいにく、金持ちになるのに必要なのは、現状の把握ではなく将来に対する計画性である。

したがって、いくら緻密に3ヶ月先の支出を見越しても、銀座でフラフラし、ブティックにふらっと入って、世界に88個しかない腕時計をほいっと見せらると衝動的に買ってしまうような性格は、黒字になる予定の帳簿もいつの間にか大赤字にしてしまう。

こうして一向に増えない貯蓄だが、金への頓着のおかげで一つだけ得られたことがある。

それは、金について詳しくなったことだ。

社債、新株予約権付社債、国債、株、オプション、制限付き株式、投資信託、ETF、確定拠出、生命保険、年金保険、定期預金といったよくある金融商品には大抵手を出しており、成り行きで為替や金利、そして税制の仕組みについても詳しくなった。さらには、資金調達や借り換えに携わる機会があり、企業の世界の金の動きについてまで知るようになった。

唯一、知識も経験もないのは、通称「消費者ローン」と言われる金融商品だ。

しかし、この問題も時間が解消してくれるものと信じている。

綱渡り生活を繰り返している以上、いつか、必ず、アコム様やプロミス様にお世話になる時が訪れるはずなのだ。

 

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