2020年9月 21日
バカでいると、得をする(後編)
(前編から続く)
人生の秘訣は、米国の政治家ジョージ・W・ブッシュ(息子の方)がヒントをくれた。この人は、常に周りから過小評価され、その評価を少し超えるだけで、大統領までのし上がった人である。僕にとっては師匠みたいな存在だ。
バカと思われ周囲から舐められていると、たまにちょっとしたことができるだけで、それが大したことじゃなくても、「あれ、意外とできるんじゃん」と評価してもらえる。
この「意外と」が重要なのだ。常に低い期待をたまに超える方が、常に高い期待をいつも超えるより、ずっと楽である。
そして、期待を低く維持するためのカギは、実際に能無しであることだ。
幸いなことに、僕は素を出しておけば、九割九分の場合才能なしのバカにしか見えない。
たとえば、高校時代にテニスが一向に上手くならなかった話をすれば、運動神経がないことが伝わる。大学時代に株で大損した話をすれば、ビジネスセンスがないことが示唆される。大学院時代にクラスメートの質問の趣旨さえ理解できなかった話をすれば、学才がないことが分かってもらえる。社会人になってから冒頭するようになったへぼ将棋の話をすれば、隠れた才能がないことが理解される。
しかし、ビジネスセンスはない僕でも、2000円札の重要性は語れる。学才はないけど、米国憲法の話で盛り上がれる。隠れた才能はないけど、飛行機機事故については詳しい。
このように、バカだけど単なるバカで終わらなくて済む僕は、極めて恵まれている。