飛行機マニアの僕にとって、海外出張は単に趣味を堪能する機会(後編)

前編から続く)

日本〜シンガポール便には昼間と深夜の便があり、Aさんはいつも後者らしい。理由は「時間がもったいないから」だそうで、どうやら彼は毎回、徹夜の便でシンガポールに行き、ホテルに着いたらシャワーを浴びて、直ぐに打ち合わせに向かうらしい。

ここでAさんと僕の出張に対する考えの違いが明確になる。仕事熱心なAさんは出張を仕事するための手段と考えており、飛行機(事故検証)マニアの僕は出張を趣味を堪能する機会と捉えている。僕は深夜の便を検討したことなど一度たりともない。

Aさんにとって今回の出張が昼間の便になったことは相当不本意だったようで、その後搭乗するまでの15分間、彼は僕に昼と夜の便の違いについて3回くらい解説してくださった。彼が知ってるシンガポール便は背広姿のビジネスマンばかりで、今回の便は春休み中の子供連れの家族で溢れていたので、だいぶ光景が違ったようだ。

後日知るのだが、この便ではWiFiサービスがなかったらしい。

食事して、酒飲んで、映画見て、読書して、寝ることに忙しく仕事どころではない僕にとって、WiFiはあってもなくても関係ないが、飛行機が単なる仕事の手段で昼間の便は時間がもったいないと考えるAさんにとっは、WiFiがなかったのは一大事だっただろう。それはきっと、僕が乗ってる飛行機で、和食が品切れになったり、映画が観られなかったりになるのと同じのはずだ。

そんなことが起こったら僕は大騒ぎするが、紳士であるAさんはクレームさえしなかったと思われる。

こうして僕は、Aさんと出張の便が同じになったことで、ファーストクラスにいろいろあるのと同様、出張にもいろいろあることを学んだ。

 
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