自己満足のためにやってる小中学生向けのキャリアトーク(後編)

前編から続く)

もっとも、保護者が僕の話を子供たちが聞くことについてどう思うかはまったくの別の話である。

感想文を読んでみると、保護者が心配しそうなことがたくさん書いてある。

たとえば次の感想。

「最初、腕時計を二つ着けていらっしゃるのを知った時は少し驚きましたが、だんだんなんとなく格好いいなと感じるようになってきました。いつか2つ着けてみたいです」

これは僕としては弟子ができたようでうれしいばかりだが、母親としては子供が変人扱いされるのではないかと心配になるだろう。

まだこれはマシだ。次のような感想文を読んだら、両親ともども校長先生を問い詰めに学校に押しかけてしまうかもしれない。

「いつもの退屈な授業の変わりとして、救世主のごとく教室に姿を現したジョー先生のお話はとても面白く興味深かったです。特に好きな勉強をちゃんとやっていれば意外となんとかなるといったお話に感銘を受けました。なので地理と分法の勉強からは一旦目を背けようと心に決めました。」

そう、僕が小中学生向けにする話は、もっぱら、興味のない国語のテストがいつも10点台で、きらいな理科はもっと点数が低くて、それでもまったく危機感を持たなくて、それどころか開き直っていたら、今では銀行で漢字が書けなくて困り飛行機がなぜ飛べるのか理解できなくて残念です、といった話ばかりなのだ。

「勉強をしなくても、テストの点数が悪くても、大丈夫」。そんな話をすれば生徒が安心するのであれば、僕のキャリアトークも単なる自己満足ではなく、ちゃんとしたボランティア活動と言えるのではないだろうか。

 

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