自己満足のためにやってる小中学生向けのキャリアトーク(前篇)

昨年から、僕は小中学校で自分のキャリアについて話をするというボランティア活動に奔走している。

もっとも、これはボランティアというより、自己満足のためにやっている活動である。なにしろ、これほどおしゃべりナルシストに合った活動はないのだ。

そもそも、僕が「ぜひお話をお聞かせください」と言ってもらえること自体がとても稀である。注目されることが人生の生き甲斐である僕は、しょっちゅう色んなところに押しかけては講演する機会を探っているが、どこからも「丁重にお断りいたします」としか言われない。

さらには、たまに講演する機会をもらえても、自分がしたい話、つまりは自分の話をさせてもらえたことがない。「何かためになるお話をお願いします」と言われては、さすがの僕も、自分がどれだけの食いしん坊であるかとか、僕がどうやって近所のコンビニのバイトのツダ君に勝利を収めたかとかの話は求められていないのだと分かる。

僕ができる”ためになる話”とは法律関係の話くらいしかないが、そんなつまらない話なんぞ僕自身聞きたくないのだから、僕が講演を行っても、いつも客席では閑古鳥が鳴いている。

そして、最後にアンケートを取っても、「話が長すぎました」とか「内容がよくわからなかったです」とか評価されないのがざらだ。

一体なにが面白くて、わざわざ押しかけてまで話をさせてもらい、長時間かけて準備して、誰も関心も理解もない話をするのだろう。そう思ってしまうのが通常の僕のトークのおちなのだが、そんな残念かつ不愉快な思いを一切経験しなくて済むのが小中学校でするキャリアトークなのである。

なにしろ、小中学校トークは、何度でも声をかけてもらえ、僕がしたい話がいくらでもできて、聞き手に30人もいて、僕の話がどれだけ素晴らしかったかの「感想文」まで貰える。これが嫌では、もはやこの世の中に僕の居場所はない。

後編に続く)

 
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